臍(へそ)からの膿(うみ)〜尿膜管遺残の可能性〜
はじめに
シャワーを浴びたあとや服を着替えるときに、「へそに黄ばみがついている」「触るとじんと痛い」「何度拭いてもにおいが残る」…そのような違和感を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
へそは汚れや皮脂が溜まりやすい場所なので、皮膚トラブルの事も多いのですが、膿がにじむ、においが強い、炎症を繰り返すという場合には、皮膚だけの問題ではないことがあります。
その背景として考えられる病気のひとつが 『尿膜管遺残(にょうまくかんいざん)』 です。
尿膜管遺残とはどのようなものか
胎児の時期、膀胱から臍(へそ)へと伸びる細い管が存在しています。これは、発達の過程で役割を終え、生まれる頃には閉じて、細い索状(ひも状)の組織へと変わることが通常です。
しかし、この閉じる過程が不完全な場合、管の内部が空洞のまま残ります。これが 尿膜管遺残 と呼ばれる状態です。
空洞になって残った部分は、外部から細菌が入り込みやすく、炎症が生じることで へそを通じて膿や分泌物が排出される ことがあります。
尿膜管遺残でみられやすい症状
尿膜管遺残があると、へそやその周囲で次のような症状が起こることがあります。
☑︎ へそから膿(白〜黄色)が出る
☑︎ 衣服に生臭いにおいがうつる(湿った布を放置したときのようなにおい)
☑︎ へそ周囲が赤くなり、押すと痛む
☑︎ 下腹部に重みや鈍い不快感がある
☑︎ 炎症が強いと発熱することがある
特に特徴的なのが 「清潔に保っても繰り返す」 という点です。
また、まれではありますが、へそから出る分泌物が 尿に似たにおい を帯びる場合があり、これは尿膜管が膀胱とつながったままの状態(尿膜管瘻)を疑う手がかりになります。
他のへその病気との違い
へその膿というと、臍炎や粉瘤(皮膚の下に袋状の組織ができ、中に皮脂や角質がたまる良性のしこり)でも似た症状が現れます。
しかし、尿膜管遺残はへその「奥の通り道」そのものに問題があるため、抗生剤で一時的に良くなっても再発しやすいことが特徴です。
「良くなったと思ったのに、しばらくするとまた出てくる」という方は、単なる皮膚の炎症ではなく、尿膜間遺残を疑い、超音波検査やCT検査を行う必要が出てきます。
放置するとどうなるか
炎症が続くと、尿膜管内に膿が溜まり、しこりのように腫れることがあります。真っ赤に腫れたり、強い痛みや発熱につながることもあります。
さらに、長期間炎症を繰り返した組織は変化を起こしやすく、非常にまれではありますが、尿膜管由来の悪性腫瘍(尿膜管がん) が発生する可能性が指摘されています。
従って、「自然に治るか様子を見る」という選択はハイリスクとなる場合もあります。
診断方法
超音波(エコー)
へその奥に尿膜管の通り道が残っていないか、液体や膿が溜まっていないかをエコーで確認します。
CT検査
膿の溜まり方や炎症の強さ、尿膜管と膀胱の位置関係までCTで確認でき、治療や手術の必要性の判断に役立ちます。
当院では、視診と問診に加えて、超音波検査とCT検査の両方を院内で当日中に実施できます。即日評価が可能で、1日の受診で原因まで明確にできるのが大きな強みです。
治療の流れ
治療は、大きく二段階に分けて行います。
① 炎症を沈める治療
抗生剤の投与(内服または点滴)を行い、膿が貯留している場合は、局所麻酔下で膿を排出する処置(排膿)を行います。
② 再発を防ぐための手術
炎症が落ち着いたら、再発を防ぐために 尿膜管が残っている部分を取り除く手術の必要性について検討します。
近年は お腹に小さな穴を開けて行う腹腔鏡手術 が主流で、傷が小さく、体への負担も少ない方法です。
③ その他の疾患(臍炎・粉瘤)の場合
臍炎(さいえん)の場合、軽症であれば抗菌薬の塗り薬で治療します。痛みが強い・膿が多い場合は内服の抗菌薬を使用し、膿がたまっている時は切開して膿を出す処置が必要になることもあります。
粉瘤(ふんりゅう)の場合、根治には袋ごと取り除く手術が必要ですが、痛みがない小さい粉瘤は経過観察をすることもあります。痛みがあったり、炎症や腫れが強い場合は、まず抗生剤や膿を出す処置を行い、炎症が落ち着いてから手術することが一般的です。
まとめ
へそから膿やにおいが続く場合、表面の炎症や汚れだけが原因とは限らず、へその奥に残った尿膜管で炎症が起きていることがあります。この場合、自然に治ることは少なく、症状を繰り返すこともあります。皮膚のトラブルと判断して様子を見るより、原因をきちんと調べることが大切です。
池袋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、消化器と泌尿器の両面から評価を行い、エコーやCTで炎症の範囲や膿の有無、尿膜管と膀胱の関係を正確に確認することができます。
当院では対応ができない「手術」や「特別な処置」が必要になった場合には適切な医療機関を紹介させていただきますのでご安心ください。
「臍がジクジクしている」「臍に痛みや発熱がある」など気になる症状がある方は、どんなことでも当院にご相談ください


