高血圧症について(血圧が高い、健診で高血圧と指摘)
日本の高血圧患者は、全体として約4,300万人いると推定されており、日本人のおよそ3人に1人が高血圧という状況です。もはや国民病といっても過言ではありません。
高血圧は自覚症状がない人がほとんどのため、放置してしまう人が多い傾向にあります。しかし、ある日突然、心疾患や脳卒中などの命に関わるような病気を引き起こすことがあるため、高血圧は「サイレントキラー」とも呼ばれます。
高血圧のご家族がいる方や検診で高血圧を指摘された方は、こちらの記事をご一読いただき高血圧について理解を深め、最寄りの医療機関を受診するキッカケにしていただけましたら幸いです。当院でも高血圧診療はさせて頂いております。
◆目次◆
1 そもそも血圧とは
2 高血圧とは
2.1 本態性高血圧
2.2 二次性高血圧
3 高血圧はどのような危険があるか
3.1 高血圧の症状
3.2 高血圧を放置するとどうなるか
4 高血圧の治療・予防
4.1 適度な運動
4.2 食事
4.3 禁煙
4.4 薬物療法
5 高血圧の検査
5.1 毎日の血圧測定
5.2 採血検査
5.3 超音波検査
5.4 CT検査
6 診療費用
1 そもそも血圧とは
血圧とは、心臓から血液が送り出され全身 へと流れていく際に血管内壁にかかる圧力(押す力)のことで、血圧が高いと血液が血管内壁を押す力が強くなります。一般に血圧の『上、下』と表現されるのは、上は収縮期血圧 (最高血圧)を意味し、 心臓が収縮し最も強く血液を送り出すときの血圧です。これに対し、下は 拡張期血圧 (最低血圧)を意味し、心臓が緩み、送り出した血液が全身を巡り心臓に戻って来るときの血圧です。
血圧は1日の中でも変動し、夜間睡眠中の血圧は低く、昼の活動中には高くなる傾向にあります。また、血圧は、生活習慣やストレスなど様々な因子によって変動し、食事や喫煙、入浴、排泄などの活動や季節や気温の変化などの影響も大きく受けます。日常生活の中で高血圧のリスクとなる具体的な因子は、以下のようなものがあります。
高血圧のリスク
- 肥満
- 運動不足
- 過剰飲酒
- 精神的ストレス
- 睡眠不足
- 自律神経の調節異常
- 野菜や果物(カリウムなどのミネラル)不足
- 喫煙
- 過剰な塩分摂取
2 高血圧とは
高血圧を指摘されたら普段の血圧を知るためにも家庭で血圧を測定することが望ましいです。毎日同じ 時間に血圧を家庭用血圧計で測定し、測定した血圧値は血圧手帳やアプリで記録 し、受診時に医師に見せましょう。
血圧は日内変動変(1日の中で変化する)があり、さらには様々な因子の影響を受けるため、病院で測る診察室血圧が正常でも、早朝から午前中にかけ高血圧となる早朝高血圧や睡眠中も血圧が高い状態 が続く夜間高血圧、病院で測ると正常血圧でありながら家では高血圧になる仮面高血圧などがあるため安心はできません。
家庭での血圧測定は、1日2回、起床時と就寝前に行い、それぞれ原則2回測定し、その平均の血圧を参考にすることが推奨されます。
病院で測る血圧は一般的には白衣高血圧と言い、高くなる傾向にあります。病院では患者様が緊張されることがその原因です。
高血圧とひとことに言ってもいくつかのタイプがありますので続いて解説いたします。
2.1 本態性高血圧
日本では、高血圧の患者の約9割は本態性高血圧と言われます。本態性高血圧の原因は、生活習慣などの環境因子(後天的な環境による原因)が4割、遺伝因子(生まれながらによる原因)が6割と言われ、具体的な環境因子は、塩分の摂りすぎ、加齢、運動不足、肥満、喫煙、精神ストレスなどが挙げられます。本態性高血圧の治療は生活習慣や食事の改善から行い、改善されなければ薬物療法を行います。
2.2 二次性高血圧
二次性性高血圧は、ホルモン異常や心臓・腎臓・血管などの疾患に起因する高血圧を言います。代表的な疾患としては、クッシング症候群、腎動脈狭窄、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫などがあり、その疾患の治療を行う必要があります。
これらの病気の治療は非常に専門的であり、当院では行っておりません。もし病気が見つかり治療が必要と判断した場合は、提携している専門的な病院をご紹介させて頂きます。
3 高血圧はどのような危険があるか
3.1 高血圧の症状
高血圧は自覚症状は乏しい傾向にありますが、高血圧に伴い、「頭痛、めまい、肩こり、火照り、動機、息切れ、耳鳴り」などの症状が起きることもありますので、そういった体調不良を感じた際は、医療機関を受診することをお勧めします。高血圧以外の原因の可能性もあるため、一通りの検査は必要になります。
3.2 高血圧を放置するとどうなるか
高血圧を放置すると、高い血圧に耐えるために血管の内壁は硬く分厚くなり、動脈硬化が起こります。動脈硬化により血管の内腔が狭くなり、傷つきやすく、破れやすくなります。さらに動脈硬化が進むとくも膜下出血(脳の血管が破れ出血する病気)や心筋梗塞(心臓の血管が詰まる病気)、脳梗塞(脳の血管が詰まる病気)を引き起こすことがあります。最悪の場合、死に至る可能性があるため高血圧を放置することは、非常に危険だと言えます。
4 高血圧の治療・予防
記事の冒頭でお話した通り日本人の高血圧患者の多くは、本態性高血圧であり、生活習慣などの環境因子が大きく影響します。そのため、生活習慣を見直すことで高血圧の治療・予防ができます。
4.1 適度な運動
肥満は高血圧のリスクの一つです。一般にBMI(body mass index:身長と体重のバランスの数値)が25以上を肥満症と呼び、肥満症では高血圧になる確率が2.9倍というデータもあり、肥満予防が高血圧の治療、予防に重要なことがお分かりいただけると思います。適度な運動は肥満予防に有効であり、脂肪燃焼効果のある有酸素運動を週2-3回、30分以上行うことが望ましいと言われます。無理なく、散歩やウォーキング、ストレッチなどを習慣にするとよいでしょう。
4.2 食事
高血圧の方にとって塩分の摂りすぎは禁物です。食塩の主成分である塩化ナトリウムを摂りすぎると、体内のナトリウム濃度が高くなり、血液の浸透圧(水分を吸収しようとする圧力)を一定に保つために血液中の水分が増えるという現象が起きます。すると増えた水分によって血液全体の量が増加し、血管の内壁にかかる圧力が高くなり、血圧が上がります。
高血圧の予防、治療のためには食塩は1日6g未満にすることが望ましいと考えられます。普段の食事で減塩を意識し、麺類はスープを残す、調味料にお酢や香味野菜などを使用し食塩や醤油の量を減らす工夫をするとよいでしょう。1日6g未満の塩分制限が難しくても塩分を控える努力をすることはとても大切です。
4.3 禁煙
喫煙は、タバコに含まれるニコチンが末梢血管(手足などの身体の末端の細い血管)を収縮させ、血圧を上昇させてしまうため高血圧の方には、禁煙をお勧めします。愛煙家の中には、喫煙によりリラックスできると言う人もいますが、実際には、喫煙は高血圧のリスクになりますので吸い過ぎは要注意です。
4.4 薬物療法
食事や運動、生活習慣の改善だけでは、効果がみられない場合は薬物療法を行います。降圧薬には、ACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬、利尿薬、α遮断薬、β遮断薬など様々な作用の薬があり、症状に適した降圧剤を服用します。また、症状によっては複数の薬を服用することもあります。
二次性高血圧症の場合は、原因となる疾患の治療を行います。適切な治療により血圧をコントロールすることが、高血圧を原因とする心筋梗塞や脳梗塞による突然死の予防に繋がります。
5 高血圧の検査
5.1 毎日の血圧測定
朝起きてすぐに毎日血圧を測定するのが大切です。高血圧を指摘されて方は、自宅に血圧計を買いましょう。
高血圧の基準は収縮期血圧(最高血圧)130mmhg以上、拡張期血圧(最低血圧)80mmhg以上です。
毎日の血圧の平均がこの基準を超えると、要注意です。
5.2 採血検査
高血圧を指摘される方は、他にも脂質異常症や糖尿病を合併する場合があります。採血ではそのようなことをチェックすることが必要です。
また原発性アルドステロン症や褐色細胞腫などの二次性高血圧の否定のためにも採血は必要な検査となります。
5.3 超音波検査
超音波検査は身体に害がなく、解ることも多い有用な検査です。大動脈の動脈硬化や、二次性高血圧の原因となる腫瘍の有無などがわかります。
5.4 CT検査
CTは放射線被曝が少々ありますが、胸腹部のことが詳細にわかる非常に有用な検査です。高血圧により大動脈に大動脈瘤などの合併症が起きていないかのチェックや、副腎腫瘤などのチェックに有用です。当院でもCT検査を行なっております。
6 診療費用
尿検査のみ | 2000円前後 |
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エコー検査のみ | 2500円前後 |
採血+尿検査 | 3500円前後 |
採血+尿検査+エコー検査 | 5000円前後 |
CT検査 | 5000円前後 |
池袋消化器内科・泌尿器科クリニックは、プライバシーと感染対策に配慮して、全ての患者様を番号でお呼びし、待合室の椅子には仕切りを設けております。当院は消化器科泌尿器科の専門クリニックですが、内科の生活習慣病の治療もしております。検診で高血圧を指摘された方、自己測定で高血圧に気づいた方は、是非、当院にご相談ください。