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前立腺肥大症の原因・症状・検査・治療について

前立腺肥大症は、自覚症状がない方も含めると50歳以上の男性の半分以上が罹っている病気です。前立腺が肥大(大きくなる)すると尿道を圧迫してしまい、尿が出にくかったり、尿の回数が多くなる頻尿などの症状が起きてくる病気です。命に関わることはほとんどありませんがQOL(生活の質)を低下させる非常に厄介な病気です。
排尿に関することは恥ずかしさもあり、家族や友人などに相談できない男性も多いようですが、放置してしまうと症状が悪化する可能性もあります。症状が進む前に専門のクリニックで相談し、正しい知識を持って、適切な検査・治療をすることが大事です。
この記事では、前立腺肥大症について分かりやすい言葉で解説していきますので、参考にしていただければ幸いです。

 

◆目次◆

1 前立腺とは
2 前立腺肥大症とは
 2.1 前立腺肥大症の原因
 2.2 前立腺肥大症の症状
 2.3 前立腺肥大を放置するとどうなるか
3 前立腺がんと前立腺肥大症の違い
4 前立腺肥大症の検査
 4.1 尿検査
 4.2 採血検査
 4.3 超音波検査
 4.4 尿流量動態検査
5 前立腺肥大症の治療
 5.1 薬物療法
 5.2 経尿道的内視鏡治療
 5.3 外科的治療
6 診察費用

1 前立腺とは

前立腺とは、図のように膀胱から出る尿道の一部を囲うように形成しているクルミ大の男性だけにある臓器です。前立腺では、精液の一部である前立腺液というものを作ります。50歳以上になると前立腺肥大症と前立腺がんになりやすく、主に悪いことしかしない前立腺は男性にとって厄介な臓器ともいえます。

2 前立腺肥大症とは

2.1 前立腺肥大症の原因

前立腺肥大症のイメージ

前立腺肥大症とは、前立腺の一部の内腺と呼ばれる部分が肥大し、尿道を圧迫することで様々な症状が起きることです。前立腺肥大症の原因は、加齢や男性ホルモン、遺伝的な影響があると言われております。しかしはっきりしたことはまだわかっておりません。

前立腺肥大症の程度により自覚症状には差があります。

2.2 前立腺肥大症の症状

前立腺肥大症によって起きる症状は、次の3つです。

尿勢不良(排尿症状)

前立腺の内腺が肥大し、尿道を圧迫することで尿の勢いが悪い、途切れる、時間がかかるなどの排尿症状が出ます。

頻尿

尿勢不良が起きると膀胱が尿を出すために活発に筋肉を働かすため神経が過敏になってしまい膀胱の筋肉が過活動の状態になります。そのため頻繁に尿意を感じ、頻尿になります。

尿閉

頻尿になると、膀胱がさらに疲れていき、膀胱の筋肉が働かなくなり、尿が出なくなる尿閉と呼ばれる状態になります。

尿閉の状態までいくと手術以外で治すことは難しいので、尿が出にくい、頻尿などの症状に気づいたら悪化しないように速やかに泌尿器科の専門医を受診し、検査・治療することが重要です。

2.3 前立腺肥大を放置するとどうなるか

前述したような前立腺肥大症の症状を放置すると、頻尿になり、さらに悪化すれば尿閉になります。尿閉になると自分の力で排尿することができないため、尿道の中にカテーテルと呼ばれる管を入れて、そこから尿を出します。患者さんが体力的に元気なケースでは、手術で前立腺を切除して尿を出す場合があります。
また、尿路感染症や膀胱結石などの合併症や腎機能障害を引き起こす可能性もあります。前立腺肥大症と同様の症状は、前立腺がんでも起きることがあり、放置することで前立腺がんの発見が遅れる可能性もあります。
尿の回数が多くなったり尿が出にくくなる症状のある方はすぐに泌尿器科を受診しましょう。

3 前立腺がんと前立腺肥大症の違い

前立腺がんのイメージ

前立腺がんは図にもあるように、前立腺の外側にある外腺から発生します。稀に前立腺の内側にある内腺から発生することもありますが、ほとんどは外腺からなので、かなり進行していない限り尿道を圧迫することはありません。そのため排尿症状は起きにくいのですが、放っておくと前立腺の中で留まらず、転移する可能性もあります。近年、増加の一途を辿り、統計学的予想によると2025 年には、前立腺がん男性のがん罹患率(かかっている人の割合)の第1位になると言われています。

前立腺肥大症は、尿道に接している内腺が大きくなってくるので、肥大により尿道を圧迫して尿が出にくい症状がすぐに現れます。前立腺がんと大きく異なる点は、前立腺肥大症は前立腺の中で留まって転移はしないことです。ただ、頻尿や尿が出にくいなどの症状を引き起こすのが前立腺肥大症です。

4 前立腺肥大症の検査

前立腺肥大の診断には、いくつかの検査を行う必要があります。ここでは、必ず行う検査について説明します。

4.1 尿検査

尿を顕微鏡で見て検査することで、尿の濁りや血尿の有無、尿路感染症の有無などを検査します。前立腺肥大症は、基本的には尿は綺麗ですが、稀に尿の中に赤血球や白血球が出ることがあります。前立腺炎など合併することもあるのでそれを確認するためにも尿検査は非常に重要です。

4.2 採血検査

前立腺肥大症が進行すると、腎臓の機能が悪化することもあるため一般的な腎臓の機能を見るために採血検査が必要です。また、前立腺がんと区別するためにもPSAを測定する必要があります。PSAの正常値は4ng/dL以下ですが、前立腺がんがあるとPSAが上昇する傾向にあります。PSA4~10ng/dLはグレーゾーンと言われ、前立腺肥大症や前立腺炎があるとことがあります。

4.3 超音波検査

超音波検査は、放射線を使わない体に優しい検査です。下腹部に当てる超音波検査によって正確に前立腺の大きさを知ることができます。一般的に前立腺の体積が20cc以上となると前立腺肥大症と診断します。

4.4 尿流量動態検査

実際の尿流量動態検査の結果

当院の尿流量動態検査

尿流量動態検査は、尿の勢い、排尿される量、排尿時間を測る検査です。尿流量動態検査を行うことで、尿道が閉塞しているかどうかなど前立腺肥大症の程度がわかります。
検査の方法は、トイレ型の検査機器に普段と同じように排尿するだけで分かるので患者さんへの負担も少なく、非常に有用な検査です。

5 前立腺肥大症の治療

前立腺肥大の初期段階では、症状が軽いことが多く、主に薬物療法が行われます。薬物療法で改善が見られない場合や薬物治療が長期にわたり、重篤な合併症が発生した場合は手術療法が検討されます。

5.1 薬物療法

薬物療法では、α1ブロッカーもしくはPDE5阻害薬という薬を使って、尿道の閉塞を和らげます。また、頻尿などの症状がある場合は、抗コリン薬やβ3作動薬などの薬を使って和らげます。

5.2 経尿道的内視鏡治療

経尿道的内視鏡治療は、尿道からカメラを入れて尿道の内側から肥大した前立腺の組織を排除する手術です。以前は、電気メスによるTURPという手術がスタンダードな治療でしたが、現在はレーザーメスで肥大した前立腺組織をくり抜くHOLEPという手術やレーザーによって蒸散するPVPという手術が以前のTURPよりも出血が少なく入院期間も短いため主流となっています。入院期間は1ー2泊で手術が行えるようになってきています。

5.3 外科的治療

10年以上前では、開腹手術によって前立腺肥大を切除していましたが、内視鏡手術の技術が進んだ現在は、ほとんど行われていません。

6 診察費用

当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、およそ下記のようになります。(3割負担)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
尿流量動態検査 1000円前後
CT検査 5000円前後

当院ではプライバシーの配慮を徹底しており、全ての患者様を番号でお呼びしております。

前立腺肥大症の診断・治療も行ってます。診察により手術が必要と判断した場合は、適切な病院に紹介させていただきます。頻尿や尿が出ない、出にくいなどの症状が続き、前立腺肥大症が疑われる方は、是非、一度、当院にご相談ください。

執筆 泌尿器科専門医 伊勢呂哲也

池袋院

大宮院

上野院

新橋院

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