尿に泡が混じる・尿が臭い
今回は尿に泡が混じる、尿が臭うということに関してお話ししていきたいと思います。
おしっこをした時に尿に泡が混ざっていたり尿が臭ったりすると皆さん非常に驚かれると思います。一概に尿に泡が混じる、尿が臭うのはこれが原因、とは確定できないのですが様々な原因が考えられます。
今回はその原因や考えられる疾患と治療法などについて説明していきますので、心当たりの症状がある方は一読されて安心していただければ幸いです。また、心配な方はぜひお近くの泌尿器科を受診されることをお勧めします。
◆目次◆
1 尿が泡立つ・尿が臭う原因
1.1 糖尿病が原因
1.2 尿に細菌感染がある
1.3 尿にがん細胞がある
1.4 尿が濃い
1.5 尿に蛋白が含まれている
2 尿が泡立ったり臭ったりした場合の検査
2.1 尿検査
2.2 採血検査
2.3 超音波検査
2.4 CT検査
3 治療
4 診療費用
1 尿が泡立つ・尿が臭う原因
1.1 糖尿病が原因
糖が尿に混ざると尿が泡立つことがあります。基本的に普通の方の尿に糖が混ざることはありません。しかし糖尿病が進行している場合には尿が泡立ち、甘く臭ってくることがあります。糖尿病で血糖値が高くなることで、一部の血糖が腎臓で作られる尿に漏れ出てしまうのです。糖尿病の初期の段階では尿の中に糖が混じることはないのですが、進行していくとこのような症状があるので注意が必要です。
基本的には採血検査で糖尿病はわかります。採血検査で血糖値を測って、HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)を測り糖尿病があるかどうかを判断します。大抵の方は検診で採血を一年に一回、もしくは半年に一回するのでそこで糖尿がある場合には気付くことができるのですが、検診を定期的に受けていない方や、会社の検診で採血項目が入っていないという方もいらっしゃいます。(会社の決められた健診は、会社によって全然内容が違います。健診を受けているから大丈夫ということはありません。)そういう方はご自身が糖尿病であることを気付かないまま数年経過してしまうといことがあります。
そうなると糖尿病の発見が遅れて治療が遅くなってしまうので、もしもこのような尿の状態に気付いた場合は一度検査をした方がいいでしょう。
1.2 尿に細菌感染がある
尿の中に細菌が感染していると泡立ちや臭いの原因になることもあります。主に男性の場合は尿道炎や性行為感染症などから尿に細菌が混じることがあります。男性の尿道炎というのは性行為感染症がほとんどで、通常おしっこをする時に痛みなどの症状を伴います。ですが初期で無症状の場合には尿の泡立ちや臭いで尿の細菌感染が判明することがあります。
女性の場合には膀胱炎から細菌感染が起こって尿が泡立ったり臭うことがあります。膀胱炎になると頻尿(おしっこの回数が増える)や残尿感(おしっこをした後にまだ残っている感じがある)、排尿時痛(おしっこをする時に痛む)などの症状があることがほとんどなのですが、軽度の膀胱炎であるとそのような症状がなく細菌感染しているということもあります。
そういう場合には尿が泡立ったり臭うというだけの症状があることがあります。このように男性は尿道炎の初期症状、女性は膀胱炎の無症状の場合も考えられますので、気になる場合には泌尿器科の受診が必要です。
1.3 尿にがん細胞がある
尿の中にがん細胞があると尿が臭う場合があります。尿の通り道には腎臓から尿管、膀胱があるのですが、そこに膀胱がん、尿管がん、腎盂のがんがあるとそこからがん細胞がこぼれ落ちます。
がん細胞というのはきちんとした正常な組織ではないので、崩れて尿の中にこぼれ落ちやすいのです。がん細胞が尿の中にポロポロと崩れ落ちてきて尿の中に含まれて出てくると尿が泡立ったり臭ったりする原因になることがあります。このようにがん細胞が原因で尿の泡立ちや臭いになっていることもありますので、尿に異変を感じた場合には泌尿器科の受診が必要です。
1.4 尿が濃い
尿が濃い場合の例として、早朝尿(朝起きてすぐの尿)というものがあります。早朝尿とは体の中に水分があまりないため、朝一番の尿が非常に濃縮されて出てきます。その場合の尿はアンモニア臭で匂ったり尿に泡が混じることがあります。
真夏の日中に脱水状態のために尿が濃くなるという時には早急に水分を摂取しなければなりませんが、起床時のちょっとした脱水状態で起こる尿の濃さには特には治療の必要はありません。起床時にしっかりと水分を摂取することで改善します。
1.5 尿に蛋白が含まれている
尿に蛋白質が含まれることで泡立つことがあります。あまり臭うことはありません。蛋白尿は尿検査で蛋白の有無を判別することができます。尿に蛋白が含まれている場合は腎臓の中の病気であることが多く、腎臓内科の疾患であるため、泌尿器科で尿の泡立ちの症状で泌尿器科的な異常がないとわかれば、腎臓内科の専門医に紹介します。タンパク尿の状態が明らかな場合は初診時から腎臓内科にご紹介させて頂きます。
2 尿が泡立ったり臭ったりした場合の検査
2.1 尿検査
尿検査は泌尿器科の検査では基本になります。尿の中に赤血球や白血球がないか、蛋白が混じっていないか、がん細胞が混じっていないかまたは細菌が混じっていないかを調べることができます。
尿検査は非常に簡単にできますし、そこからわかる情報は非常に多いので、泌尿器科の中の検査では必須の検査になります。
2.2 採血検査
採血検査は腎臓の機能が正常に働いているか、糖尿病がないか、炎症や細菌感染がないか、脱水症状になっていないか、また前立腺がんがないか(PSA検査)などを調べます。
2.3 超音波検査
体にゼリーを塗布して腎臓、尿管、膀胱を超音波で見ることで、石がないか、癌がないかを調べることができます。超音波検査は放射線も浴びることなく非常に簡便にできる体に優しい検査です。日常検査ではとても有用な検査となっています。
2.4 CT検査
CT検査を行うことで、尿の通り道に結石がないか、尿の通り道に癌がないか、腎臓に炎症がないかなどを調べることができます。CT検査は放射線を使用するため、ある程度の被曝をしてしまうのですが、その分得られる情報はとても多い有用な検査です。当院でもCT検査は行っております。
3 治療
それぞれの原因に伴って治療をします。糖尿病だったら血糖値を下げる治療をしますし、細菌感染だったら抗生物質を投与します。またがん細胞が見られたらその癌の場所を特定してその癌を切除するといった治療をします。腎臓の中に病気があった場合には腎臓内科にご紹介して専門の治療をしてもらいます。このように原因に沿った治療を行っていきます。
4 診療費用
当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、およそ下記のようになります。(3割負担)
尿検査のみ | 2000円前後 |
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エコー検査のみ | 2500円前後 |
採血+尿検査 | 3500円前後 |
採血+尿検査+エコー検査 | 5000円前後 |
尿流量動態検査 | 1000円前後 |
CT検査 | 5000円前後 |
池袋消化器内科・泌尿器科クリニックでは泌尿器科と消化器科の専門の治療を行っております。
当院ではプライバシーに配慮して、すべての患者様を番号でお呼びしております。
池袋の駅前で交通の便も良く、CTや超音波、諸々の検査も行うことができますので、泌尿器科・消化器科のことで困っている方がいらっしゃいましたらお気軽に当院までお越しください。
執筆 泌尿器科専門医 伊勢呂哲也