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頻尿について(昼間トイレに頻繁に行く、尿が我慢出来ない)

頻尿で悩んでいる人は年齢問わずたくさんいらっしゃいます。学校の授業中や試験中に何回もおトイレに行きたくなる、仕事中に何度もおトイレで席を外してしまう、バス旅行も何回もトイレに行きたくなるので楽しめない、などなど頻尿があると生活していく上でとても不便です。今回は多くの方が悩みを抱えている頻尿に関して書いていこうと思います。

◆目次◆

1 頻尿とは
2 夜間頻尿との違い
3 頻尿の原因
 3.1 前立腺肥大症
 3.2 過活動膀胱
 3.3 膀胱がん
 3.4 前立腺がん
 3.5 尿管結石・膀胱結石
 3.6 膀胱炎
 3.7 心因性の頻尿
 3.8 大量の水分摂取
4 頻尿の検査
 4.1 排尿日誌
 4.2 採血検査
 4.3 尿検査
 4.4 超音波検査
 4.5 CT検査
 4.6 尿流量動態検査
5 頻尿の治療の症例の紹介
6 診療費用

1 頻尿とは

頻尿とは1日起きている間に8回以上トイレに行くことを言います。頻尿の原因は様々です。頻尿があるからといって必ずしも治療をしなければならないというわけではないのですが、生活をする上で不便なことも多く、また単に頻尿だと思っていても大きな病気が隠れていることもあります。特に最近頻尿になってきたという方は注意が必要です。自分が頻尿なのかなと思ったら一度泌尿器科を受診することをおすすめします。

2 夜間頻尿との違い

読んで字のごとくですが、夜間頻尿とは夜間トイレに行くことです。夜間頻尿とは就寝中に1回以上トイレに起きることをいいます。夜間頻尿に困っている人も日中の頻尿と同じように多くいらっしゃいます。夜間頻尿は特に高齢者の方になると転倒の原因になったり、とても気をつけなければならない病気です。夜間頻尿に関しては別の記事で書かせていただきます。

3 頻尿の原因

3.1 前立腺肥大症

前立腺肥大のイメージ

前立腺肥大症というのは主に加齢が原因とされ50歳を過ぎた頃から徐々に増えはじめ70歳以上になると70〜80%の人にみられます。前立腺肥大というのは図のように内腺が大きくなっておしっこが出にくくなります。おしっこが出にくくなると膀胱が一生懸命おしっこを出そうとして疲れてしまう過活動の状態になってしまいます。過活動になると少しの尿が膀胱に溜まっただけでおしっこに行きたくなります。前立腺肥大症による頻尿は基本的に内服薬で治療します。それでも改善しない場合には手術をして前立腺を切除することもあります。現在は経尿道的内視鏡手術(尿道からカメラを入れて行う手術)が主流になっています。

3.2 過活動膀胱

男性の場合は前立腺肥大症から過活動膀胱になりますが、女性の場合は高齢になってくると過活動膀胱が出てきます。30歳以上から増え始め、40代から50代に一番多く見られます。過活動膀胱に悩んでいる方も非常に多く、過活動膀胱は重大な病気の一つです。過活動膀胱というのは特に膀胱内に石があったり、できものがあったりということはありません。膀胱が過活動になるとおしっこが貯められず、すぐに膀胱がおしっこをしたいとギュッと収縮してしまい、何度もおしっこに行きたくなる状態になります。過活動膀胱の診断は膀胱がんや結石や膀胱炎などがない、膀胱の中に何もないとわかった上で診断されます。
また、おしっこをしたいという尿意切迫感を必ず伴うのが過活動膀胱です。
過活動膀胱の治療は基本的にお薬でコントロールをします。それでも改善しない場合はボツリヌス毒素を膀胱内に打ち込む治療を行います。当院でも行っておりますので過活動膀胱でお悩みの方はご相談ください。

3.3 膀胱がん

膀胱がんは図のように徐々に進行してくるのですが、初期の膀胱がんはあまり症状が出ません。進行するとともに膀胱刺激症状が出てきて膀胱がんでも頻尿が出てきます。膀胱がんの初期症状は無症候性の肉眼的血尿といって他に何も症状がなくて血尿があると言う状態が特徴的な初期症状です。進行してくると徐々に膀胱刺激症状が出てきて頻尿になってきます。頻尿になった人はこのような大きな病気の可能性もあるので泌尿器科を受診した方がいいでしょう。

膀胱がんの治療は初期の場合は経尿道的内視鏡的治療(尿道からカメラを挿入して膀胱がんを切除する治療)を行って、進行してくると開腹手術をしたりロボット手術をしたりします。膀胱がんは最近では著名人の方もなっており、もっと早くに手術しておけばよかったとの言葉を述べられる方もいました。膀胱がんも非常に注意しなければならない病気の一つですので少しでも気になることがあれば泌尿器科の受診をおすすめします。

3.4 前立腺がん

前立腺がんは国内の男性罹患率(かかる人の割合)が2025年には1位になるといわれているがんです。亡くなる方はあまりいないのですが、食の欧米化などに伴い多くの男性が罹りやすくなっている病気です。
前立腺がんは図のようになっています。前立腺がんの初期症状では頻尿は出てこないのですが、進行してくると頻尿がでてきます。前立腺がんの治療は手術や内分泌治療(男性ホルモンを抑える治療)、PSA監視療法(採血でPSAを定期的に測定して経過をみる治療)などがあります。詳しくは前立腺がんのページをご覧ください。
前立腺がんは検診とPSA検査をすることで疑いがあるのかわかりますので、気になる方は会社での検診で前立腺がんの検査のオプションを追加したり、PSA検査を泌尿器科で受けられるのが良いと思います。

3.5 尿管結石・膀胱結石

尿管結石と膀胱結石が膀胱を刺激することで頻尿になります。尿管というのは一部膀胱の中に埋まっているため尿管の上部にある尿管結石だと膀胱を刺激することはないのですが、下部の方の尿管結石だと膀胱刺激症状(頻尿、残尿感、排尿時痛などの症状)が起こります。尿管結石は「痛みの王様」と呼ばれるくらいのすごい腰痛や側腹部痛があるので頻尿があって、痛みがある場合には尿管結石を疑います。尿管結石はCT検査でわかります。治療としては経尿道的内視鏡的治療や体外衝撃波の治療を行います。基本的には石が小さい場合には自然排石を促しますが、石が大きかったり小さくならない場合には体外衝撃波などの砕石手術をします。

3.6 膀胱炎

膀胱炎は若い女性がなりやすい病気です。職業柄おしっこを我慢することが多かったり、水分不足や陰部を不潔にしていたりするとなりやすい病気です。膀胱炎は膀胱内で細菌が感染することで起こります。膀胱炎には頻尿、残尿感、排尿時痛などの膀胱刺激症状があります。膀胱炎の治療は基本的には抗生剤の投与となります。抗生剤の投与で改善します。もし良くならない場合は、膀胱がん膀胱結石などの可能性を考える必要があります。

3.7 心因性の頻尿

若い世代の男女に多いのですが、心理的に何かのプレッシャーやストレスがかかると頻尿になることも多くあります。一番良いのは原因となるストレスやプレッシャーを取り除くことなのですが、そんなに簡単に心因性のものは取り除けるものでもありません。この場合には内服薬で膀胱の活動を弱めてあげます。頻尿が改善されることでストレスも減り、さらに頻尿が改善されることもあります。なので、心因性の頻尿でもまずはお薬の治療が大切になります。若い方でも頻尿でお悩みの方は泌尿器科で相談しましょう。

3.8 大量の水分摂取

大量の水分摂取による頻尿の方は結構多くいらっしゃいます。正常な人の膀胱の容量は200㏄〜300㏄なので、1日2-3リットル以上の水分を摂取すれば10回はトイレに行くことになります。意外と自分でたくさん摂取していると気づいておらず頻尿だという方も多いので、そういう方は後述する排尿日誌をつけてみるといいと思います。
大量の水分摂取が原因からくる頻尿は、膀胱が原因ではありませんので水分摂取を我慢していただくか、納得してトイレに頻回に行くと良いでしょう。

4 頻尿の検査

4.1 排尿日誌

実際の排尿日誌

排尿日誌では1日の水分の摂取量や時間、排尿した時間と量を記録していきます。排尿日誌をつけることで1回どれくらいの尿が出ているのか、1日で合計どれくらいの尿量が出ているのかがわかります。例えば頻尿の1日の例として一回100㏄しか出ていない方なのか、それとも400㏄出ている方なのかで頻尿の原因も変わってきます。前者の方であれば、膀胱が尿を貯められない蓄尿障害であると言うことになります。また後者の400㏄出ている方の場合はただの水分の取りすぎだなということがわかります。このように排尿日誌は泌尿器科で頻尿を鑑別するためには非常に大事な検査になります。頻尿の原因を解明するために1番大切な検査と言っても良いでしょう。

4.2 採血検査

採血検査では前立腺のがんの疑いがないか、腎臓の機能に問題がないか、大きな炎症はないかなどを調べます。

4.3 尿検査

泌尿器科では尿検査は非常に大事な検査となっています。おしっこの中にばい菌や細菌はないか、がん細胞はないか、血が混じっていないかを調べます。

4.4 超音波検査

超音波検査では結石がないか、膀胱の中にできものがないか、腎臓は腫れていないか、前立腺の肥大はないかということがわかります。超音波検査は簡便にできて体に害もなく非常に有効な検査です。

4.5 CT検査

当院でもCT検査は行っております。CT検査では尿管結石があるか一発で判明でき、膀胱の外から何かしら膀胱を圧迫しているものがないかも分かる非常に有用な検査です。CTは多少の被曝はするのですが、わかることが多い非常に大切な検査です。

4.6 尿流量動態検査

実際の尿流量動態検査の結果

当院の尿流量動態検査

尿流量動態検査とはおしっこの勢いを図る検査です。おしっこの勢いから膀胱の機能を見る検査です。尿道を閉塞、閉鎖するようなものがないか、前立腺肥大症の有無も判断できます。

5 頻尿の治療の症例

43歳女性

仕事中何度もトイレに行かなくてはいけないということで困って受診されました。
超音波、採血、尿検査調べたところ何も異常がなく、過活動膀胱と診断しました。ベータ3作動薬を服用したところ2週間ほどで改善し、半年経過して内服を中止。再発することなく治療経過は良好である。

65歳男性

バス旅行に行く時に何度もトイレに行くので旅行に行きたくなくなってしまったということで受診されました。本当はこれからも旅行に行きたいので何とか頻尿が治らないものかと相談されました。
超音波、採血など検査した結果前立腺肥大症と診断。前立腺肥大症の内服治療を行いました。それでも頻尿は完全には治らないので前立腺肥大症のお薬(α1ブロッカー)に頻尿を改善する抗コリン薬を加えることで頻尿が改善し、今ではまたバス旅行に行けるほどの自信がつきました。

6 診療費用

診療費用は以下の通りになっております。

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
尿流量動態検査 1000円前後
CT検査 5000円前後

池袋消化器内科・泌尿器科クリニックでは頻尿の治療・検査を行っております。
また、プライバシー対策・感染対策を徹底して診療しております。
頻尿でお悩みの方は当クリニック医師までご相談ください。

執筆 泌尿器科専門医 伊勢呂哲也

池袋院

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新橋院

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