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逆流性食道炎について(ゲップ、胸焼け、胃もたれ、胃の痛み、喉のつかえ・違和感)

ストレスの多い現代は、胃の不調を抱える人が多くなっています。その中でも逆流性食道炎の患者数は、近年、急激な増加傾向にあり、その患者数は日本で1500万人を超えると言われます。
しかし、逆流性食道炎の症状は様々で、ゲップ、胸焼け、胃もたれ、胃の痛み、咳、喉のつかえ感等、多岐に渡ります。不調の原因が逆流性食道炎だと気づかない患者さんも多くいます。この記事では、逆流性食道炎についてなるべく専門用語を使わず分かりやすい言葉で解説していきます。

♦︎目次♦︎

1 逆流性食道炎とは
2 逆流性食道炎の原因
3 逆流性食道炎の検査
 3.1 採血
 3.2 超音波検査
 3.3 胃カメラ検査(上部消化管内視鏡検査)
 3.4 CT検査
4 逆流性食道炎の治療
 4.1 生活習慣の改善
 4.2 内服薬
 4.3 外科的治療
5 実際の症例
 5.1 症例1
 5.2 症例2
6 診療費用

逆流性食道炎とは胃の中の胃酸が食道に逆流し、食道に炎症を起こすことで様々な症状を引き起こす病気です。主な症状としてゲップが挙げられますが、炭酸飲料を飲んだり食べ過ぎたりしたときなど一時的なものは問題ありません。しかし、胃酸の逆流が長く続くと、食道の粘膜は胃酸によって刺激を受け、炎症を起こしてしまいます。食道の炎症から感じる自覚症状にはゲップをはじめ様々なものあり、自己判断では逆流性食道炎と気づかない方が少なくありません。逆流性食道炎によって起きる症状は以下のとおりです。

  • 呑酸・ゲップ:すっぱい胃酸が口の中にこみあげてきたり、ゲップが頻繁に起きたりする
  • 胸やけ:胸が焼けるような感覚。酸っぱいものが上がってくる
  • 胸の痛み:食後に胸やみぞおちのあたりが痛い
  • 声のかすれ:声がかすれたり、高い声が出しにくくなったりする
  • せきが出る:気管支炎のような症状が続き、急な咳き込みが頻繁に起きる。就寝中に咳が多く出て、睡眠障害が起きる
  • のどの違和感:のどの痛みや締めつけられるような違和感がある。食べ物を飲み込みづらく感じる

上記の他にも、胃もたれ・お腹の張り・耳の違和感などが起きることもあります。思い当たる症状があれば、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

普段、私たちが何気なく繰り返している『食べる』という行為には、食道や胃の機能が働いています。食物が入ってくると、食道は筋肉を伸び縮みさせる蠕動(ぜんどう)運動によって食物を胃の方に運びます。

食道と胃の境目には「下部食道括約筋」と呼ばれる筋肉があります。逆流性食道炎は、この下部食道括約筋が緩み、胃から食道への逆流が起こることが原因で起こります。下部食道括約筋が緩む原因は下記に示すとおり複数ありますが、生活習慣を見直すことでリスクを抑えることも可能です。

  • 加齢による下部食道括約筋の緩み
  • 食べ過ぎ・早食いによる胃内圧の上昇
  • 食後すぐに横になる。寝る習慣がある
  • 衣服による腹部の締め付け、前屈みでの長時間の作業などによる腹圧の上昇
  • 高脂肪食・アルコール・炭酸飲料の摂取が多い
  • 喫煙
  • ストレスによる食道粘膜の知覚過敏。食道の粘膜の過敏性が高まり胃酸が少しでも逆流すると痛みなどが出てしまいます。

前述したように逆流性食道炎の原因は単一ではなく、様々な要因が複合している場合が多いです。症状によって内服薬による治療から外科的治療まで様々あるため、しっかりと検査して逆流性食道炎の状態を把握して適切な治療を行うことが重要です。また、原因を精査し食道がんや胃がんのような怖い病気が隠れていないかを確認することも必要です。

採血検査では、逆流性食道炎以外の病気が合併していないかを確認します。体内に炎症の有無を表すCRP値や膵臓・肝臓・腎臓の機能低下などがないかを調べます。

胃が痛いと感じる場合でも、実際には、胃の裏にある膵臓の疾患が痛みの原因である可能性(膵臓がんや急性膵炎など)もあるため、超音波検査で膵臓に異常がないかを確認します。また同様に、異常が疑われる他の臓器も確認することが必要です。超音波検査は身体に害の無く、得られる情報が多い非常に有用な検査です。

逆流性食道炎の検査では、胃カメラ検査(上部内視鏡消化器内視鏡検査)は非常に重要です。胃カメラの写真から逆流性食道炎の炎症の重症度を判定することができます。また、同時に食道がん・胃がんなどの悪性疾患やピロリ菌の有無を確認することもできます。当院では麻酔下で眠っている間に胃カメラ検査を行うことも可能です。苦しまずに出来るので胃カメラが苦手な方にはお勧めです。詳しくは当院医師までお尋ねください。

漫画でわかる胃カメラ検査
胃内視鏡検査

3.4 CT検査

CT検査は胸部や腹部に病気を疑った場合に非常に有用な検査になります。放射線被曝はある程度しますが、胸部腹部の臓器の異常が詳細にわかります。当院でもCT検査は行っております。詳しくは当院医師までお尋ねください。

胃カメラで逆流性食道炎と診断された場合でも、前述したような自覚症状がある人と全くない人がいます。しかし、食道の炎症が長く続くことで食道の狭窄(狭くなること)を引き起こすことがあります。また、食道の粘膜が胃と同じ粘膜に変化してしまい「バレット食道」と呼ばれる状態になることがあります。バレット食道は、食道がんの発生リスクとなりますので逆流性食道炎と診断された方は、放置せず治療を開始した方が良いでしょう。また、逆流性食道炎の症状のある方も一度胃カメラで食道と胃を観察することをお勧めします

「2の逆流性食道炎の原因」で解説した下部食道括約筋が緩むという状態の原因となるのは、生活習慣です。生活習慣の改善が、症状の改善に繋がります

  • 食事はよく噛んでゆっくり食べることを心がけ、食べ過ぎに注意
  • 食後2~3時間は横になることを避ける。就寝前3時間は食べない
  • ベルトなどで腹部を締め付けない。姿勢をよくすることを心がける
  • 高脂肪食、アルコール、炭酸飲料の摂取を控える
  • 禁煙

逆流性食道炎の治療は、胃酸の分泌を抑える「PPI(プロトンポンプ阻害薬)」や「H2ブロッカー」を服用します。また、胃の内容物が逆流しないように食道の運動を促進するため消化管運動機能改善薬や漢方薬を服用することもあります。しかし、逆流性食道炎の症状が改善しないにも関わらず漫然と治療を続けることは好ましくありません。先述したPPIを4~8週間程度服用し改善しない場合には、治療の見直しが必要です。

PPIを服用しても逆流性食道炎の症状が改善しない場合や、再発を繰り返す場合、食道狭窄、短食道などの合併症が起きた場合には、内視鏡手術などの外科的治療を検討します。逆流性食道炎の外科的治療は当院では行っておりませんので、他医療機関への紹介をご希望の方は当院医師にご相談下さい

実際の逆流性食道炎の症例を2例ご紹介します。

40歳、女性。2ヶ月前から胃もたれ・ゲップ・胸焼けの自覚症状があり受診されました。診察により逆流性食道炎と診断し、PPIを処方、服用を開始しました。さらに一週間後に胃カメラで軽度の逆流性食道炎を確認。その後一か月、PPIの内服による治療とともに生活習慣の改善を指導。この治療により症状は改善し、PPIの服用終了後も問題なく過ごしていらっしゃいます。

実際の胃カメラでの逆流性食道炎の写真

60代男性。喉のつかえが半年ほど続いているということで受診されました。
年齢的にも悪性疾患のリスクがあるため、受診当日に胃カメラ検査を実施。それによって食道がんが強く疑われたため、直ちに高度医療センターに紹介となりました。

当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ下記のようになります。(3割負担です)

血液検査 2000円前後
胃カメラ 3500円前後
大腸カメラ 9000円前後
CT検査 5000円前後
病理組織検査 3500 〜7000円前後
ピロリ菌検査 700円前後

当院では、患者さん全員を番号でお呼びし、全席に仕切りを設けてプライバシーに配慮した診療を行い、経験豊かな専門医が患者さんに寄り添う診察を心がけております。
胸焼け・ゲップ・胃や喉の不快感などがある方は、池袋消化器内科・泌尿器科クリニックにお気軽にご相談ください。

この記事を執筆した人
久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

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