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尿管結石について

近年、食習慣の欧米化に伴い動物性たんぱく質や脂肪の過剰摂取などによって「尿管結石」が増えている傾向にあります。
尿管結石は、非常に強い痛みを伴い、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
この記事では、尿管結石についてなるべく専門用語を使わず詳しく解説しますので、参考にして頂けると幸いです。

 

♦︎目次♦︎

1 尿管結石とは
2 尿管結石の症状
3 尿管結石の原因
4 尿管結石の検査
 4.1 問診
 4.2 尿検査
 4.3 採血検査
 4.4 超音波検査
 4.5 レントゲン検査
 4.6 CT検査
5 尿管結石の治療
 5.1 保存的治療
 5.2 経尿道的尿管結石破砕術
 5.3 体外衝撃波
6 尿管結石の予防について
7 尿管結石の症例の紹介
 7.1 症例1
 7.2 症例2
8 診療費用

 

「尿路結石症」の一つです。尿路結石症とは「腎臓から尿道までの尿路」に結石ができる病気です。図のように結石が尿路を落ちて移動した場所によって、腎臓結石→尿管結石→膀胱結石→尿道結石となります。

一般に腎臓結石では痛みがない場合がほとんどですが、結石が腎臓から尿管に落ちてくると、尿管に擦れて激しい痛みが出ます。また、結石によって尿が正常に流れなくなってしまうと、尿が塞き止められた状態になり、腎臓が腫れてきます。そのため背中・腰に非常に強い痛みが出ます。結石が尿管の下の方(膀胱付近)まで移動してくると、残尿感や頻尿・排尿時痛・血尿を引き起こすこともあり、感染を合併すると発熱することもあります。尿管結石の痛みは『痛みの王様』と言われるほど強いものです。あまりにも強烈な痛みのため救急車を呼ぶ方も少なくありません。しかし、その痛みが24時間続くことはなく、救急車で病院に着いた頃にはケロッとしていることも珍しくありません。尿管結石はその方の性格を変えるくらいの痛みを持っているので、痛みがあった翌日お会いするとまるで別人のように感じる時もあります。

尿管結石の原因は複数ありますが、遺伝的な要因で起こることもあります。まずは、ご家族に尿管結石の既往歴(尿管結石にかかったことがあるか)を確認しておくことをお勧めします。一般に尿管結石は、20~40歳代の男性に多い病気で、罹患率(かかった人の割合)は女性の約2倍と言われます。尿管結石は生活習慣病の一つともされ、高血圧糖尿病脂質異常症・痛風の人は、尿管結石になりやすい傾向にあります。また、水分が不足すると結石ができやすいと言われています。水分が減ると尿が濃くなり、尿中のカルシウム・シュウ酸・リン酸・尿酸などが結晶を作りやすくなるためで、その結晶が固まってしまうと結石ができるのです。

尿管結石の原因には遺伝的要因も影響するため、まずは患者さんからの情報が非常に大事です。さらに、後述する検査によって、結石の位置や大きさを把握することも重要です。

問診では、「痛みの発生時刻」「どちらの腰・わき腹が痛いか」「頻尿・残尿感・排尿痛などがあるか」また「排尿時痛があるか」「発熱はないか」などを伺います。遺伝的要因が重要となるため「家族に尿管結石になった人がいないか」なども確認します。診察では触診を行い、背中を叩いて痛みを確認します。触るだけでは痛みがなくても、叩くと結石のある側に痛みを感じるのが特徴です。

問診と触診の後に、尿検査を行います。尿中に菌がいないか・赤血球や白血球がないかなどを調べます。尿管結石では血尿も多く、尿潜血反応でも確認できます。また、感染を伴う場合には尿中の白血球が多くなります。尿路の癌を疑う場合には、尿中に癌細胞がないかを調べる検査をします。

採血検査では、腎臓の機能が落ちてないか・感染などによる炎症反応がないかを調べます。また、結石を作るカルシウム・リン・尿酸などの数値を調べ、それらが高い場合には、原因となる疾患が隠れていないかを調べます。

超音波検査によって腎臓が腫れていないかを確認し、結石がどこにあるかも調べます。超音波検査は体に害がない非常に安全なもので、結石の診断には重要な検査です。

レントゲン検査は基本の検査で、結石の大きさや位置を調べることができます。結石の多くはレントゲンで確認できますが、種類によってレントゲンに映らない結石もあるため、その場合にはエコー検査やCT検査を行います。

CT検査では、ある程度の被爆量がありますが、非常に有益な検査で多くの情報が得られます。前述のとおり、レントゲンに映らない結石の場合にはCT検査が有効です。CT検査では結石の大きさや正確な位置までわかります

結石の大きさや場所によって治療法が異なります。検査で大きさや位置を確認し、適した治療法を行うことが重要です。

5mm以下の尿管結石

結石の大きさが5mm以下の場合は、尿とともに自然に排出される可能性が高いため、水分を十分に取ってよく動くようにし、結石が出てしまうのを待ちます。この際、尿管結石の排石を促進する内服薬を服用することもあります。これを一般的に保存的治療と呼びます。

5mm以上の尿管結石

結石の大きさが5mm以上の場合は、尿とともに自然に排出する可能性が低くなります。痛みが強い場合には、早い段階で他の治療法を検討します。

尿管結石によって尿が塞き止められたままの状態が長時間続くと、腎臓の機能低下を引き起こす可能性があります。5mm以下の場合、若い患者さんであれば、積極的に動くことができ結石を自然排出できる可能性は高いと考えられます。しかし、体力が低下した高齢者の場合には、積極的に動くことができず、結石が移動せず自然排出が難しい場合もあります。それぞれの患者さんの状態をみて治療法を検討することが重要です。

TUL(経尿道的尿管結石破砕術)は尿道から内視鏡カメラを挿入し、カメラで尿管結石を直接見ながら、レーザーで結石を破砕して取り出す手術です。下記の動画で過程がご覧いただけます。TULではレントゲンで確認できなかった結石でもカメラで確認し、レーザーで粉砕することができます。95パーセント程度の確率で結石が破砕され排出されます
メリットは、メスを使うことなく、体への負担が少ない点にあります。
デメリットは、麻酔が必要な治療法のため2~4日程度の入院が必要となる点です。

ESWLは、尿管結石の外科的治療では主流となっていますが、レントゲンに映る結石であることが基本となります。先述の通り、結石の種類によってはレントゲンで確認出来ません。ESWLは、レントゲン衝撃波を発生させる装置を使用し、体外から結石に向けて衝撃波を当てて結石を細かく砕きその後、自然排泄させる治療法です。結石の大きさによっては、複数回治療を繰り返すこともあります。
メリットは、麻酔の必要もなく体にメスを入れる手術でもないため、体に優しいという点です。また、治療時間も短く、1時間程度で治療後すぐに日常生活・職場への復帰が可能です。
デメリットは、体外衝撃波を当てる際にわずかな痛みがあるという点です。しかし、治療前に座薬を使用することで痛みはかなり抑えられます。まれに、腎臓や皮膚から出血する合併症が起きるのもデメリットと言えます。さらに、ESWLを受けた2割程度の人が、結石が破砕できないという結果になる場合もあります。

*当院ではESWLやTULは行っておりません。患者様の結石の位置や大きさなどによってESWLやTULによる治療が必要な場合には、それらの治療が可能な病院をご紹介します。

尿管結石は、再発を繰り返すことが多い疾患です。尿管結石を放置すると腎機能が低下し、最悪の場合は人工透析が必要となるケースもあります。また、尿管結石をきっかけに感染症を起こし、腎盂腎炎になってしまうと死に至ることもあります。遺伝的に尿管結石になるリスクが高い方や一度でも尿管結石に罹患した方は、予防を心がけてください。尿路結石症は食生活とのかかわりが深く、糖尿病高血圧高脂血症などの生活習慣病がある方は、尿管結石になるリスクが高いといえます。生活習慣病の予防が尿管結石の予防にも繋がります。
尿管結石の予防のため、日常生活で心がけていただきたい具体的な対策は下記のとおりです。

尿管結石の予防法
  1. 水分摂取:食事以外に1日2L以上の水分を摂取することを心がけてください。
  2. シュウ酸の取りすぎに注意:尿中に排泄されるシュウ酸が多いと結石ができやすくなります。シュウ酸を多く含む食品を摂りすぎないよう注意してください。ほうれん草、キャベツ・ブロッコリー・カリフラワー・レタス・サツマイモ・ナス・タケノコ・バナナなどが、シュウ酸を多く含みます。また、コーヒー・紅茶・お茶などにもシュウ酸が含まれるため、適量を心がけてください。
  3. 尿酸値に注意:高尿酸血症の方はプリン体の過剰摂取で尿酸結石になりやすい傾向にあります。尿酸値が高い場合は、放置せず治療を行ってください。
  4. カルシウムの摂取:カルシウムには、結石の原因となるシュウ酸を排泄する働きがありますので1日600~800mgのカルシウムを摂取することが望ましいです。
  5. クエン酸の摂取:クエン酸には、尿中でシュウ酸とカルシウムが結合し結石となるのを抑える働きがあります。クエン酸はみかん・レモン・グレープフルーツなどの柑橘系果物や、酢・梅干し・トマトなどに多く含まれます。

具体的な尿管結石の症例を2例、ご紹介します。

40歳女性。右側腹部痛があり、当院を受診しました。CT検査で右側に8mmの尿管結石と右の腎臓の腫れがあることが分かり、水分摂取と適度な運動を継続することを指導し、3週間後に排石を確認しました。その後も水分摂取を心掛け、再発もなく経過は良好です。

32歳男性。右の側腹部痛があり当院を受診しました。CT検査で6mmの結石が上部尿管に詰まっていることが分かり、同時に腎臓の腫れも確認しました。1か月間、保存的治療を試みましたが排石できなかったため、体外衝撃波治療が必要と判断し、大きな病院を紹介させていただきました。紹介先の病院で体外衝撃波治療を受け、排石があり、治療を完了しました。その後は再発予防を心掛け、経過良好です。

実際のCT画像

当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、およそ下記のようになります。(3割負担です)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後

当院では、患者さん全員を番号でお呼びし、全席に仕切りを設けてプライバシーに配慮した診療を行い、経験豊かな専門医が患者さんに寄り添う診察を心がけております。背腰の強い痛み・血尿など、尿管結石を疑う症状がありましたら、池袋消化器内科・泌尿器科クリニックにお気軽にご相談ください。

執筆 泌尿器科専門医 伊勢呂哲也

池袋院

大宮院

上野院

新橋院

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