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急性膵炎・慢性膵炎

「みぞおちのあたりが痛み、胃薬を飲んだが症状が改善しない」という方は念のため、医療機関を受診することをお勧めします。なぜなら、その症状は膵臓が炎症を起こした状態『膵炎』の可能性があるからです。近年、食の欧米化に伴い、急性膵炎・慢性膵炎が増加しています。しかし、膵臓疾患は特徴的な症状がない場合が多く、気づかぬ間に悪化してしまい、膵臓がんまで進行し、発見されることもあります。そういった最悪のケースを防ぐためにも膵炎の段階で早期発見・治療することが大切です。この記事では膵臓の働きや膵炎の病態、検査・治療方法について詳しく解説しますので参考にしていただければ幸いです。

♦︎目次♦︎

1 膵臓とは
 1.1 膵臓の構造
 1.2 膵臓の働き
2 急性膵炎
 2.1 急性膵炎の症状
 2.2 急性膵炎の原因
 2.3 急性膵炎の治療
 2.4 急性膵炎の検査
3 慢性膵炎
 3.1 慢性膵炎の症状
 3.2 慢性膵炎の原因
 3.3 慢性膵炎の治療
 3.4 慢性膵炎の検査
4 膵炎のリスクと予防
 4.1 膵炎のリスク
 4.2 膵炎の予防
5 診療費用

1 膵臓とは

1.1 膵臓の構造

膵臓は胃の裏側・背骨の前側に位置し腹部の最も奥深い場所にあります。膵臓は、長さ20cm程の細長い臓器で十二指腸・小腸・大腸・肝臓・胆嚢・脾臓等に囲まれています。
膵臓は「膵頭部」「膵体部」「膵尾部」の3つの部位に区分されます。膵臓内部には直径2mm~3mmの主膵管が走っており、膵尾部から膵体部・膵頭部を経て十二指腸へと膵液が流れます。また、膵頭部を通り抜けるように総胆管が位置し、肝臓で作られた胆汁は総胆管を通って十二指腸に流れ込み、消化酵素の働きを助けます。

1.2 膵臓の働き

膵臓には主に下記に示す2つの働きがあります。

①外分泌機能

膵臓の外分泌機能とは、2~3Lの膵液を十二指腸に分泌することを言い、十二指腸内で胃酸を中和し、消化を助けます。膵液には、炭水化物を分解するアミラーゼ、タンパク質を分解するトリプシン、脂肪を分解するリパーゼの消化酵素が含まれ、食物の消化に重要な役割を果たします。

②内分泌機能

膵臓の内分泌機能とは、インスリン(血糖値を下げるホルモン)やグルカゴン(血糖値を上げるホルモン)を作り、血液中に分泌し、血糖を調節する働きです。

2急性膵炎

急性膵炎は、膵液(膵臓が分泌する消化液)で膵臓自身を溶かしてしまう自己消化により発症する病気です。通常は、膵臓から分泌される消化酵素は膵臓内では作用しないように安全機能が働いています。しかし、なんらかの原因でこの安全機能が機能が働かなくなると、膵液による自己消化が起き、膵臓の組織が炎症を起こすのが急性膵炎です。急性膵炎は、年間約35,000人の人が発症し、男性の罹患率が高く、女性の約2倍程度の患者数と言われています。

2.1 急性膵炎の症状

急性膵炎は、みぞおち周囲の上腹部の激しい痛みに始まり、腹部全体に広がります。姿勢によって痛みの程度が、仰向けでは痛みが強く、横向きや膝を抱え体を丸くした姿勢では痛みが和らぐこともあります。痛みだけではなく、膵臓が浮腫み、下腹部に腫れが生じたり、吐き気や嘔吐、背部痛、黄疸などの症状が現れることもあります。症状が進むと膵臓組織からの出血、壊死等が生じ、さらに悪化すると膵臓から様々な有害物質が血液中に流れ込み、他の臓器へと運ばれるため、心臓・肺・肝臓・腎臓等に障害を起こし、生命に危険を及ぼすこともあります。

2.2 急性膵炎の原因

急性膵炎の主な原因は、男性ではアルコールが最も多く、女性では胆石が最も多いことが分かっています。
アルコールが原因の場合には、アルコールが膵臓の細胞を直接傷害すると考えられます。胆石が原因の場合には、胆石によって膵液の流れがせき止められ、逆流した膵液が膵臓に流れ込み、自己消化が起きると考えられます。

2.3 急性膵炎の治療

急性膵炎と診断された場合、緊急入院となるケースがほとんどです。通院での治療は困難であり、症状によって数週間から数ヶ月の入院治療を要することがあります。内科的治療が基本となりますが、膵臓に壊死がある場合には外科的治療により、壊死組織を取り除いたり、胆嚢摘出などを行います。

①絶飲食

食物を取ると消化のため膵液の分泌が促されるため、絶飲食にして、膵液の分泌を抑え、栄養は点滴により供給し、膵臓を休めます。

②疼痛の除去

急性膵炎には激痛が伴うことが多く、痛みによるストレスで全身消耗を来たし、循環不全(全身の血流低下)に陥る要因となるため、鎮痛剤等の投与を行います。

③膵酵素阻害薬

膵液に含まれる膵酵素が血液中に流れ込み、血流によって他の臓器へと漏れ出すと呼吸不全や腎不全などの合併症を引き起こす恐れがあるため、膵酵素の働きを抑える膵酵素阻害薬の投与を行います。

④抗生物質

急性膵炎が起こると炎症が進んだ膵臓の組織や膿瘍部分に細菌感染が合併する危険が高いため抗生物質の投与を行います。

⑤特殊療法

症状に応じて、膵臓から血液中に漏れ出た有害物質を取り除くために血漿交換、腹膜還流、人工透析などを検討することもあります。

2.4 急性膵炎の検査

急性膵炎は軽症の状態から急激に重症化する可能性があり、慎重な検査が必要となります。問診・触診の後、必要な検査を行います。

①採血検査

膵液に含まれるアミラーゼ等の血液中の値を測定します。急性膵炎では、この値が高くなります。炎症の程度や膵臓を取り囲む臓器への影響を把握するため、肝機能・腎機能・血糖値・炎症反応・貧血・電解質等も調べます。

②尿検査

尿中に含まれるアミラーゼ等の値を測定します。急性膵炎では、この値が高くなります。

③超音波検査

超音波検査では膵臓の浮腫の程度や膵臓周囲への影響を画像によって調べることができます。胆嚢や総胆管に結石があれば超音波検査によって映し出されます

④CT検査

CT検査では膵臓の壊死の程度、周囲への炎症の波及などを調べ、膵炎の重症度を判定することができます。当院でもCT検査は行なっております。

3 慢性膵炎

慢性膵炎は、10年以上の長い時間をかけてジワジワと膵臓の組織が破壊され、繊維化(膵臓の組織が破壊され硬くなる)や石灰化(膵臓の一部にカルシウムが沈着する)が起き、膵臓の働きが低下します。慢性膵炎を発症すると元の正常な状態に戻ることはなく、膵臓の機能低下に伴い糖尿病など様々な合併症が起きる可能性があります。近年、慢性膵炎の罹患率は増加の傾向にあり、男性が女性の3倍もの発症率であることも特徴です。

3.1 慢性膵炎の症状

慢性膵炎では、普段は無症状のケースもありますが、飲酒や過食の後に激しい腹痛や背中の痛みが起きることがあります。繊維化や石灰化により膵臓の正常な組織が減少し、膵臓の機能が低下すると膵液の分泌が不足し、脂肪の消化・吸収が正常に行われず、その結果、脂肪便と呼ばれる便が出るようになります。脂肪便は、白色の脂の浮いた全体に黄色味を帯びた便です。また、膵臓の機能であるインスリンの分泌も低下し糖尿病を合併するケースも多くあります。また、慢性膵炎から膵癌に進行するケースは多く、慢性膵炎と診断された方は継続的な治療と検診をしっかりと行って欲しいと思います。

3.2 慢性膵炎の原因

慢性膵炎の原因としては、急性膵炎と同様にアルコールが最も多く、喫煙も慢性膵炎のリスクになることが分かっています。男女別にみると男性ではアルコール性の慢性膵炎が70%を超え、女性では特発性(原因不明)が50%近いという報告があります。その他の原因では、脂質異常症・副甲状腺機能亢進症などがあります。

3.3 慢性膵炎の治療

慢性膵炎の治療により症状が改善しても膵臓が元通りになるわけではなく、継続的な禁酒や禁煙、生活習慣の改善、定期的な受診と検診が必要になります。

①疼痛の除去

急性膵炎と同様に慢性膵炎でも痛みをできる限り取り除く治療を行います。鎮痛薬の投与を行いますが、継続な痛みに鎮痛剤の効果が思うように得られなくなり、麻薬を使用するケースもあります。

②内視鏡治療

慢性膵炎による痛みの原因は、膵臓から十二指腸に膵液を送る膵管の中に膵石と呼ばれる石ができ、膵液の流れが滞ることにあります。そのため膵液の流れを良くするため、内視鏡治療により膵石を取り出し、膵管にステントという管を挿入し、膵液の流れを良くします。

③体外衝撃波による膵石破砕

膵管の中の膵石がはまり込んだ状態では、内視鏡治療によっても膵石を取り出せないケースもあり、その場合には、体外衝撃波によって結石を砕いてから内視鏡治療を行います。

④外科手術

上記の治療で善しない場合や再発した場合には、外科的手術を行います。外科的手術は膵臓を切り取る膵切除術と膵液の流れを良くするための膵管ドレナージ術があり、症状に適した手術を行います。

3.4 慢性膵炎の検査

①採血検査

膵液に含まれるアミラーゼ等の消化酵素の血液中の値と血糖値を測定します。慢性膵炎では、消化酵素の値が高くなります。また、膵臓の機能低下によりインスリンが不足するため血糖値が上昇していることがあります。

②尿検査

尿中に含まれるアミラーゼ等の消化酵素の値を測定します。慢性膵炎では、この値が高くなります。

③腹部X線検査

膵石がある場合には腹部X線画像に映ります。

④腹部超音波検査

膵臓の形状や大きさ、膵石の有無や大きさ、膵臓の内部を詳しく調べることができます。

⑤CT検査

腹部全体を詳しく調べることができます。腹部レントゲン検査では見つけることができない病変も確認することができます。慢性膵炎から膵臓がんに進行するケースも多く、CT検査は癌組織の発見にも有益です。CT検査は当院でも行なっております。

 

4 膵炎のリスクと予防

膵臓は少々の異常があっても自覚症状に現れにくく、沈黙の臓器とも呼ばれます。しかし、炎症が悪化すると爆発するように症状が現れ、命を脅かします。そうならないためには、膵炎のリスクを知り、膵臓に負担をかけない生活を心がけることが大切です。

4.1 膵炎のリスク

①アルコール

過度の飲酒は膵臓に大きな負担をかけます。また、飲酒とともに脂肪食や刺激物等を摂取する傾向にあり、急性膵炎・慢性膵炎に罹りやすいといえます。

②喫煙

喫煙は、慢性膵炎ではリスクとなることが分かっています。また、喫煙は膵臓癌のリスクでもあり、禁煙が膵炎の予防に繋がります。

③高脂肪食

高脂肪食の過剰摂取は、膵臓に強い刺激となり、膵炎のリスクが増加します。

④肥満

肥満によって引き起こされやすい高脂血症・胆石は、急性膵炎・慢性膵炎の原因となります。

⑤過労やストレス

過労やストレスは、膵臓に負担をかけます。

4.2 膵炎の予防

急性、慢性膵炎ともにアルコールが最も大きなリスクとなりますので飲酒は適量を心がけ、週1~2日は飲酒をせず、膵臓を休める日を設けると良いでしょう。また、暴飲暴食を避け、脂肪を取りすぎないバランスの良い食生活を心がけることも大切です。また、肥満防止とストレス軽減のために適度な運動を取り入れることもお勧めです。
膵炎は進行すると命の危機に繋がることもありますので、定期的な健康診断を受け、早期発見・治療ができるように定期的な健康診断等を受けるとともに『みぞおちの痛み』や『背部痛』などを感じた際は医師の診察を受けることが重要です。

5診療費用

当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、およそ下記のようになります。(3割負担です)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
胃カメラ 3500円前後
大腸カメラ 9000円前後
CT検査 5000円前後

当院では、患者さん全員を番号でお呼びし、全席に仕切りを設けてプライバシーにに配慮した診療を行い、経験豊かな専門医が患者さんに寄り添う診察を心がけております。
飲酒の習慣があり慢性膵臓に罹患しているのではないかと不安がある、鳩尾の痛みや背部痛、過食や飲酒の後に腹痛があるという方は、池袋消化器内科・泌尿器科クリニックにお気軽にご相談ください。

この記事を執筆した人
久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

池袋院

大宮院

新橋院

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