淋病・淋菌感染について(原因、感染経路、検査、治療法)
淋病・淋菌感染もクラミジア感染症に次いで多い性行為感染症です。若い世代に多くみられるのですが、30代以降の世代にも蔓延しています。淋病はクラミジアに比べ排尿時の痛みや分泌物など症状が強く現れるため驚く方も多いようです。
診察や検査を自費診療で行なっているクリニックでは費用が数万円にもなってしまうこともあり患者さんの負担になってしまいます。当クリニックは基本的には保険診療を行ってます。淋病・淋菌感染症はどんなものなのか、費用についてもこちらで詳しく説明していきますので参考にしていただければ幸いです。
◆目次◆
1 淋病とは
2 淋菌感染の原因・感染経路
3 淋病の潜伏期間
4 淋病の症状
5 淋病の検査
5.1 尿検査
5.2うがい検査
6 淋病の治療
7 淋病の治療後に心がけること
8 淋病の診療費用
1 淋病とは
淋病とは淋菌(Neisseria gonorrhoeae)という菌によってもたらされる感染症です。淋菌はもともと弱い菌で人の粘膜の中でしか生きていけません。そのためほとんどの場合は性行為によって粘膜を介して感染する性行為感染症です。男性の患者数が女性よりも圧倒的に多いのですが、男性は強い自覚症状があるのに対し、女性には自覚症状のない人も多いためにこのような差が出ていると言われています。
淋病の感染率はコンドームを使用していない場合30%〜50%と非常に高い感染力となっています。淋病を放置しておくと梅毒やHIVなどの大きな性病にかかりやすくなりますし、男女問わず不妊の原因にもなります。淋病と診断された方は、パートナーに症状がなくとも同時に検査することをおすすめします。当院では基本的に女性の診察は行っておりませんので、女性の方は婦人科で診てもらいましょう。
2 淋菌感染の原因・感染経路
前述した通り淋菌は粘膜を通じて大体の場合性行為によって感染します。男性は尿道から感染し淋菌性尿道炎を引き起こし進行すると精巣上体炎になります。女性は膣から感染し淋菌性子宮頸管炎を引き起こします。また男女ともにオーラルセックスによって咽頭に感染すると咽頭炎になります。肛門性交によって肛門に感染することもあります。妊娠している女性が淋病に感染すると早産や流産を引き起こしやすくなり、また出産時には産道から赤ちゃんに淋病が感染してしまいます。赤ちゃんに感染すると目や血液に炎症を起こして最悪死に至ることもあります。パートナーが淋病になった時に限らず、妊娠前には婦人科で一度検査をすることをおすすめします。なお当院では基本的に女性の診察は積極的に行っておりません。
淋病の感染予防もクラミジアなどの他の性病と同様にコンドームが有効です。ただしコンドームも敗れてしまったり、感染部位が覆われていなかったりすると感染してしまう可能性がありますので100%安全とは言い切れません。
3 淋病の潜伏期間
淋病の潜伏期間は行為後2日〜7日がほとんどですが、2週間ほどの人もいます。潜伏期間後に排尿時痛や膿がでるなどわかりやすい症状が現れる人が多いのですが、中には無症状で感染に気づかない人もいます。
4 淋病の症状
尿道から感染している場合は強い排尿時の痛み、透明もしくは黄白色の膿が尿道から出てきます。膿は排尿時とは関係のない時に出てきます。クラミジアの時よりも強い症状が出るのが特徴的です。睾丸が腫れて痛む人もいます。精巣上体炎を引き起こし放置していると男性不妊につながります。女性の場合は症状のない人が多いのですが、おりものが黄色や白濁していたり血液が混じったりすることがあります。放置すると子宮頸管炎を引き起こして不妊につながります。喉に感染した時には症状が出ないことが多いのですが、喉の痛みやイガイガ、違和感などを感じる人もいます。淋菌に感染している人の3割ほどはクラミジア菌を合併することがあるため、淋菌の治療をする人には同時にクラミジアの治療もすることをおすすめしています。
5 淋病の検査
5.1 尿検査
PCR法の尿検査を行います。尿の中に淋菌がいないか調べます。検査結果が出るまでに3〜4日かかります。
5.2うがい検査
クリニックでうがいをしてもらい、その液をPCR法で検査します。喉に淋菌がいないかを調べます。検査結果がでるまでに3〜4日かかります。
6 淋病の治療
抗生物質はクラミジアに対してアジスロマイシンを内服します。淋菌感染に対してはスペクチノマイシンの筋肉注射を臀部に打ちます。喉の淋菌感染の場合にはセフトリアキソンの点滴を行います。
7 淋病の治療後に心がけること
淋病の治療後に陰性が確認されるまで性行為は控えた方がいいでしょう。また、淋菌には耐性菌と呼ばれる通常の抗生剤が効かない菌もいますので、きちんと治療をした後も検査をして陰性の確認をすることが重要になります。性行為の時には必ずコンドームを装着して、行為の前後にシャワーで患部を清潔にする、行為後におしっこをして流す、などの感染予防対策をしっかりと行いましょう。また信用のできない人や不特定多数の人との性行為はなるべく控えることも性行為感染症を防ぐ大切なことと言えるでしょう。淋病は放置しておくと男性不妊にもつながりますので、疑わしい症状があった場合やパートナーの感染を知った時など本人に自覚症状がなくとも心当たりのある方は一度泌尿器科へ受診することをおすすめします。
8 淋病の診療費用
当院の淋病の診察費用は診察から検査まで3000円〜4000円となっております。
クラミジア淋菌の検査・治療費用 | 3000円~4000円 | |
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梅毒の検査・治療費用 | 3000円~4000円 | |
尖圭コンジローマの検査・治療費用 | 薬治療 | 1000円~2000円 |
電気メスによる切除 | 4000円~6000円 | |
トリコモナスの検査治療費用 | 3000円~4000円 | |
マイコプラズマ・ウレアプラズマの検査費用 自費検査 | 9000円 | |
HIV感染症の検査費用 自費検査 |
4400円 | |
性器ヘルペスの検査・治療費用 | 3000~5000円 | |
淋病の検査・治療費用 | 3000~4000円 |
3割負担のお値段です。診療費用は内容によって多少の前後はあることをご理解ください。(マイコプラズマ、HIV検査のみ自費検査)
以上の検査治療費に薬局でのお薬代がプラスされます。
尿道と喉の検査を同時に行う場合には片方は自費となります。
片方の自費の料金は4400円です。
繰り返しになりますが、無症状であっても淋菌やクラミジア菌を放置していると梅毒やHIVなどのもっと大きな性病にかかりやすくなってしまい、男性不妊にもつながります。気になった時には検査をしましょう。
池袋消化器内科・泌尿器科クリニックは消化器内科と泌尿器科の専門クリニックです。
当院ではプライバシー対策と感染対策を徹底して診療しております。
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執筆 泌尿器科専門医 伊勢呂哲也