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急性前立腺炎、慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)について

このページでは、前立腺炎について説明していきます。前立腺炎は10代から60代・70代までと幅広い年齢の男性におきる病気です。特に、慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)については悩んでいる人が非常に多く、治癒に至っていない方も少なくありません。今回は前立腺炎について、なるべくわかりやすく解説していきます。気になる症状がある方は、一度泌尿器科の受診をお勧めします。

♦︎目次♦︎

1 前立腺炎とは
2 急性細菌性前立腺炎
 2.1 急性細菌性前立腺炎の症状
 2.2 急性細菌性前立腺炎の原因
 2.3 急性細菌性前立腺炎の治療
3 慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)
 3.1 慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)の症状
 3.2 慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)の原因
 3.3 慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)の治療
4 前立腺炎の検査
 4.1 尿検査
 4.2 採血検査
 4.3 超音波検査
 4.4 直腸診
 4.5 CT検査
5 診療費用

 

1 前立腺炎とは

前立腺炎とは、男性の前立腺という臓器におこる炎症です。炎症とは、外部から細菌やウィルスなどの異物が体内に侵入したときに、それらを排除しようと体が戦うためにおこる反応です。炎症とは身体の中で火事が起きているとイメージしてもらえれば良いと思います。


前立腺炎は急に起こる「急性前立腺炎」と徐々に起こりなかなか治りづらい「慢性前立腺炎」に分けられますが、急性前立腺炎は「急性細菌性前立腺炎」とも呼ばれていて、細菌やばい菌が尿道から侵入して前立腺に炎症をおこすものです。慢性前立腺炎は、特に細菌などが原因ではなく、ストレスや飲酒などの生活習慣などが原因でおこるとも言われていますが、確かな原因は判明されていません。それぞれの前立腺炎に関して、一つ一つ詳しく解説していきます。

2 急性細菌性前立腺炎

2.1 急性細菌性前立腺炎の症状

急性細菌性前立腺炎の主な症状には、排尿時の痛み・頻尿・残尿感があり、発熱を伴うこともあります。ひどい状態になると尿が出にくくなる「尿閉」という状態になってしまうこともあります。

非常に高い熱が出てしまったときなど、放置しておくと、最悪の場合は死に至ることもありますので、くれぐれも注意してください。30代から70代の男性に起こりますが、特に、前立腺肥大を持っている50歳以上の高齢の方に多く見られます。急性細菌性前立腺炎を疑うような症状(排尿時痛、頻尿、残尿感、発熱など)がある方は必ず泌尿器科受診をしましょう。

2.2 急性細菌性前立腺炎の原因

前立腺肥大のイメージ

急性細菌性前立腺炎は、細菌が尿道から入り、前立腺に感染することでおこります。主な細菌は大腸菌ですが、最新の論文では、淋菌やクラミジアなどの性行為感染症の菌による前立腺炎も指摘されています。前立腺肥大症の方や、膀胱の機能がうまく働いていない神経因性膀胱の方、尿道カテーテルを留置している方なども前立腺炎になりやすいです。要するに、外から尿道を介して体内に細菌が入りやすい状態にあると前立腺炎になりやすいと言えます。前立腺肥大症だと排尿の勢いがなくなったり、排尿後に残尿が生じるので、細菌が感染しやすい状況になるのです。

2.3 急性細菌性前立腺炎の治療

急性細菌性前立腺炎の治療は、基本的には抗生剤を1週間から2週間投与するものとなります。尿が出ない状態の方には、尿道カテーテルを留置する場合もあります。前立腺肥大症や神経因性膀胱が原因である場合は、抗生剤を投与した後に、それぞれの病気に準じた治療を行う必要があります。つまり、前立腺炎を再発しないように前立腺肥大症や神経因性膀胱の根本的な治療を行います。

3 慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)

3.1 慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)の症状

下腹部より下に起きる様々な症状の総称を「慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)」と言います
下腹部の痛みや痺れ、陰茎や両鼠径部の痛みやかゆみ、頻尿、残尿感などがみられます。その他よくあるのは、足の痛み・足の裏の痛みや痺れ・お尻の痛みなどが、慢性前立腺炎の症状として挙げられます。これらの全ての症状が必ず存在するわけではなく、何かしらの症状がみられます。それを慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)と呼びます。

3.2 慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)の原因

慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)には、細菌などの特にこれといった原因はなく、ストレスや飲酒などの生活習慣が関係していると言われています。長時間座っていることが多い仕事の人もなりやすいようです。また「疲れが溜まっている」「体が冷えている」など、体の抵抗力が弱くなっている状態も発症しやすいと言われています。20代〜40代の男性に多くみられます。

3.3 慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)の治療

慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)の治療は、基本的には原因がはっきりとしないので、症状を改善させることが重要になります。主に漢方薬やα1ブロッカー(アルファワンブロッカー)を投与して症状の改善を試みます。2〜3週間の投与で改善すれば、そのままそのお薬を続けていきます。但し、全ての方が一回のお薬で改善するとは限りません。改善が見られない場合は、内服薬を変更して、その方に適しているお薬を探していきます。

4 前立腺炎の検査

4.1 尿検査

尿検査では尿の中に「赤血球や白血球がないか」「ばい菌、細菌が入っていないか」などを調べます。急性細菌性前立腺炎の場合は、尿の中に白血球や赤血球がみられます。慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)の場合は、基本的に尿検査で細菌などの異常が見られることは少ないです。尿検査は泌尿器科の検査の中で非常に大切な検査となります。

4.2 採血検査

採血検査では、炎症の度合いを確認することができます。急性細菌性前立腺炎の場合は、白血球数(WBC)の値が上昇し、炎症を示す「CRP」も増加します。前立腺がんのマーカーである「PSA」の値も上昇しています。採血検査で炎症の度合いを確認した後、投与する抗生剤の投与期間などを判断します。
慢性前立腺炎(慢性骨盤痛症候群)では、基本的に採血で変化が出てくるということはありません。

4.3 超音波検査

超音波検査では「前立腺が肥大していないか」「尿管結石などが合併したりしていないか」「膀胱が尿閉になってパンパンになっていないか」などを調べます。慢性前立腺炎の場合は、特に大きな異常が認められないことがほとんどです。超音波検査は、痛みを伴わない体に優しい検査です。

4.4 直腸診

直腸診は肛門から指を入れて前立腺を触る検査ですが、最近ではあまり行われません。急性細菌性前立腺炎の場合は、痛みを伴う場合が多いです。慢性前立腺炎の場合は、あまり痛みがありません。

4.5 CT検査

全身の状態を把握するためにCT検査をする場合があります。CT検査では「前立腺が大きくなっていないか」「尿路結石などの合併がないか」「膀胱の異常や他の病気が骨盤内や腹部に合併していないか」などを調べます。

5 診療費用

診療費用は以下のとおりです。

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
尿流量動態検査 1000円前後
CT検査 5000円前後

池袋消化器内科・泌尿器科クリニックは消化器内科と泌尿器科の専門クリニックです。
当院では、全ての患者様を番号でお呼びし、待合室の椅子には仕切りを設けており、プライバシー対策と感染対策を徹底して診療しております。
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執筆 泌尿器科専門医 伊勢呂哲也

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