メニュー

血便・下血(便に血が混じる、健診で便潜血を指摘)

便に血液が混った状態を血便と呼びます。血便・下血は健常の方には頻繁に起きる症状ではなく、何らかの病気のサインであり、大きな病気が隠れている可能性もあります。しかし、血便・下血についてはあまり広く知られていないため、ご自身の便に血液が混じっているかなどの観察をしていない方のほうが多いと思います。この記事では血便・下血について詳しく解説しますので参考にしていただければ幸いです。

漫画でわかる大腸カメラ検査
大腸内視鏡検査

 

♦︎目次♦︎

1 血便の種類
 1.1 肉眼的血便
 1.2 顕微鏡的血便
2 疾患と血便(特に注意すべき疾患)
 2.1 大腸ポリープと血便
 2.2 大腸がんと血便
 2.3 様々な疾患と血便
3 血便に伴う検査
 3.1 便潜血検査
 3.2 直腸指診
 3.3 肛門鏡検査
 3.4 採血検査
 3.5 胃内視鏡検査(胃カメラ)
 3.6 腹部超音波検査(エコー検査)
 3.7 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
4 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の重要性
5 診療費用

1 血便の種類

血便・下血と一言に言っても色や形状に様々な種類があり、血便の特徴からどの部位からの出血でどういった疾患の可能性があるかを判断することができ、必要に応じた検査を選択することができます。また、血便には肉眼的に血液が混じっていることが認識できる肉眼的血便と 見た目でわからないほど微量の血液が混じっている顕微鏡的血便があります。

1.1 肉眼的血便

①鮮血便

鮮血便とは出血したばかりの真っ赤な血液が混じった便を言います。鮮血便は肛門・ 直腸などお尻から近い部位から出血した場合に起こります。原因疾患は、肛門にできる痔核(いぼ痔)・裂肛(切れ痔)などや大腸がん、直腸ポリープ、直腸炎などがあります。

②暗赤色便

暗赤色便は腸からの出血が便に混じりこんでいる状態であり、大腸の奥の方から出血している場合に多く見られます。原因疾患は、大腸からの出血の場合には大腸憩室、大腸がん、感染性・薬剤性・虚血性などの大腸炎があり、小腸からの出血の場合にはメッケル憩室・小腸潰瘍などがあります。

③黒色便(タール便)

黒色便は便全体が黒っぽい色をしている便を言い、タール便とも呼ばれます。主に胃・十二指腸潰瘍・小腸からの出血で見られ、出血から排便によって体外に出るまでの間に血液中に含まれる鉄分が胃酸などで酸化され黒色となるため便が黒くなります。原因疾患は、胃・十二指腸からの出血の場合には、胃・十二指腸潰瘍・胃がんがあり、小腸からの場合には小腸潰瘍・小腸腫瘍があります。ただし、黒色便には病的ではないものあり、鉄剤を服用した場合には黒色便となります。

④粘血便

粘血便は血液を含むベタベタとした粘液が混じった状態の血便です。 原因疾患は、大腸の感染症や炎症性腸疾患にみられることが多く、細菌性赤痢などで見られる特徴的な症状です。

⑤潜血便

肉眼的に認識できる出血がなくても血液が混っている便を潜血便と言います。潜血便は便潜血検査(検便)で調べることができます。潜血便が陽性となった人に大腸内視鏡検査をすると3~4%の確率で大腸がんが発見されると言われます。

1.2 顕微鏡的血便

顕微鏡的血便は肉眼的には認識できないため、便潜血検査を行い調べます。顕微鏡的血便
は検診で発見されます。

2 疾患と血便(特に注意すべき疾患)

血便を認めた場合、「痔だろう」と軽く考え放置してしまう人が少なくありません。しかし、上記で解説した通り血便にはポリープや大腸がんなどの大きな疾患が隠れている可能性が高く、放置している間に進行してしまうケースもあります。

2.1 大腸ポリープと血便

大腸ポリープからの出血により血便が出る場合は、大腸ポリープのサイズと場所が大きく関連しています。大腸ポリープがS状結腸や肛門に比較的近い直腸部分にできた場合、便が通過する際に擦られ刺激となり出血することがあります。ポリープからの出血は少量で気付かないケースも多く、大腸ポリープを放置することで大腸がんに進行する可能性もあります。

2.2 大腸がんと血便

早期の大腸がんでは自覚症状に乏しく、がんが進行すると様々な症状が現れます。その症状の一つが血便です。大腸がんの中でも直腸がんは肛門に近いため潜血便が出やすく、 結腸がんは血液が便と混ざりやすいため黒色便が出やすい傾向にあります。また、進行した大腸がんでは、血便だけでなく、粘液の付着、大量の出血が起きることがあります。

早期の大腸がん

2.3 様々な疾患と血便

①潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は特定疾患に指定されている難病のひとつで患者数は増加の傾向にあります。継続した治療によって症状をコントロールすることができ支障なく日常生活を送ることも可能です。潰瘍性大腸炎の初期には下痢や便に血か混じる症状が見られることがあります。

②大腸憩室症

大腸憩室症は憩室という袋状の組織が大腸にでき、この憩室で炎症が起こると出血することがあります。

③虚血性大腸炎

虚血性大腸炎は、大腸に血液を送る動脈が閉塞や狭窄を起こして酸素不足になった状態です。急に発症することが多く、腹痛を伴う血便が見られることがあります。

④感染性腸炎(出血性大腸炎)

感染性大腸炎は細菌やウイルスの感染によって起こります。症状には血便、下痢、発熱、腹痛、悪心、嘔吐などがあり急激に重症化し命に危険を及ぼす事もあります。細菌性腸炎が特に多く、サルモネラや赤痢、O-157などの病原大腸菌などが代表的なものです。

⑤偽膜性腸炎

偽膜性腸炎は抗菌薬の服用によって、ある種の菌が異常に増えてしまい大腸で感染、炎 症がみられる症状です。腹痛や発熱を伴う激しい下痢が起き、血便が出ることもあります。

⑥胃・十二指腸潰瘍

胃・十二指腸潰瘍では、潰瘍が進行すると胃•十二指腸潰瘍の粘膜からの出血し血便がでることがあり、少量の出血がジワジワと続くことで貧血などの症状が起こることもあります。

実際の胃カメラでの胃潰瘍の画像

⑦胃がん

胃がんが進行した状態になると、がんに侵された組織から出血が生じ、血便が出ることがあります。

3 血便に伴う検査

3.1 便潜血検査

一般的に検査専用のキットを使いスティックで便を採取し後、専用の容器に入れ医療機関へ提出します。最近では、「便潜血2日法」を行う医療機関が多く便を1日に1回ずつ2日に分けて採取し提出していただきます。便の採取は検査当日を含む3日以内に行っていただきます。

3.2 直腸指診

血便がある場合には、直腸指診を行い、痔の有無や直腸の状態を調べます。診察室で簡単に受けることができる検査で診察台に横になっていただき、指に麻酔ゼリーをつけ肛門から直腸の触診を行います。麻酔ゼリーによって局所麻酔が効いた状態で行いますのであまり痛みは強くありません。

3.3 肛門鏡検査

直腸指診の後に肛門鏡という器具を挿入し肛門や肛門管を観察します。肛門鏡検査では痔核(いぼ痔), 肛門ポリープ, 裂肛(切れ痔)の有無,、炎症の有無を詳しく調べることができます。

3.4 採血検査

採血検査では炎症の有無を調べます。また、血便の原因となる出血が慢性的に起きている場合には、貧血がある可能性が高いため、貧血についても調べます。

3.5 胃内視鏡検査(胃カメラ)

内視鏡検査では胃・十二指腸潰瘍や胃がんの可能性を踏まえて上部消化管からの出血の有無を調べます。当院では麻酔を使用して眠ったままの苦しまない胃カメラが可能です詳しくは当院スタッフまでお尋ね下さい。

漫画でわかる胃カメラ検査
胃内視鏡検査

実際の胃カメラの画像

3.6 腹部超音波検査(エコー検査)

腹部将音波検査では炎症による腸管の腫れなどの状態を調べることができます。また、肝臓や膵臓、胆嚢などの腸管の周辺臓器について調べることも重要です。超音波検査は身体に負担のない非常に有用な検査です。

3.7 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)

 

大腸ポリープや大腸がんなど直腸の奥の部分や大腸の病気が疑われた場合に行います。大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入し、直腸から盲腸までの大腸全体を詳しく調べることができます。

漫画でわかる大腸カメラ検査
大腸内視鏡検査

4大腸内視鏡検査(大腸カメラ)の重要性

血便は大腸ポリープや大腸がんの一つのサインではありますが、必ず血便を伴うわけではありません。大腸がんの9割は5~10年という長い時間をかけて大腸ポリープの中の腺腫性ポリープが徐々に大きくなり大腸がんに移行すると言われます。また、癌化する危険性が低いタイプの大腸ポリープでも10mmを超える場合には、癌化の可能性が高くなります。一般に大腸がんのリスクは40代頃から高くなります。便潜血検査による大腸がん検診がきっかけで見つかることも多く、区市町村の大腸がん検診は積極的に受けていただきたいと思います。一方で大腸ポリープや大腸がん早期では便潜血検査が陰性となることも多く、明らかな血便で発見に至った場合、すでに大腸がんが進行している可能性が高いです。大腸がんは早期発見・早期治療で完治する可能性が高い為、40歳を過ぎたら定期的な大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を強くお薦めいたします。

進行した大腸がん

5 診療費用

当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、およそ下記のようになります。(3割負担です)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
胃カメラ 3500円前後
大腸カメラ 9000円前後
CT検査 5000円前後

当院では、患者さん全員を番号でお呼びし、全席に仕切りを設けてプライバシーにに配慮した診療を行い、経験豊かな専門医が患者さんに寄り添う診察を心がけております。
排便の後トイレットペーパーに血液が付着する、明らかな血便がある、40代以降でご家族が大腸がんの既往歴があるという方は、池袋消化器内科・泌尿器科クリニックにお気軽にご相談ください。

この記事を執筆した人
久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

池袋院

大宮院

新橋院

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME