大腸ポリープについて
大腸ポリープとは、大腸の壁の最も浅い粘膜から内側にイボ状に盛り上がった隆起のことです。多くは無症状で、健診の便潜血検査で陽性の結果から下部消化管内視鏡検査(大腸内視鏡検査)が行われ発見されることがほとんどです。大腸ポリープの大半は良性ですが、一部は悪性(=大腸がん)になる可能性があるもの、もしくは悪性のものがあり、早期発見、早期治療が必要です。この記事では大腸ポリープの病態、検査・治療法について解説しますので参考にしていただければ幸いです。
♦︎目次♦︎
1 大腸とは
2 大腸ポリープの種類
2.1 腫瘍性ポリープ
2.2 非腫瘍性ポリープ
3 大腸ポリープの原因
4 大腸ポリープの症状
5 大腸ポリープの検査
5.1 便潜血検査
5.2 大腸内視鏡検査
5.3 その他~注腸検査・CTコロノグラフィー・血液検査
6 大腸ポリープの治療
6.1 ポリペクトミー
6.2 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
7 大腸ポリープの治療の注意点
8 診療費用
1 大腸とは
大腸は管状の臓器で、口から始まり肛門に至る消化管の最後の臓器です。長さは個人差があり1~1.5メートル程度で、口側から順に盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S錠結腸、直腸で構成されています。主な機能は口側から送られてきた消化物から水分の吸収し、便を形成することです。
2 大腸ポリープの種類
大腸ポリープは大きく分けて「腫瘍性ポリープ」と「非腫瘍性ポリープ」があります。
2.1 腫瘍性ポリープ
腫瘍性ポリープには、腺腫や癌があります。このうち既に癌になっているもの除くと、腺腫が癌化のリスクがあるポリープと言われています。これを早期のうちに切除することによって、将来の大腸がんのリスクを減らすことができると報告されています。多くは大腸内視鏡検査での見た目で判断可能で、最終的には切除したポリープの病理組織診断によって確定診断を行います。
2.2 非腫瘍性ポリープ
非腫瘍性ポリープには、過形成性ポリープや炎症性ポリープなどがあります。一部の過形成性ポリープが癌化のリスクがあるポリープと言われているため、早期のうちに切除すれば、大腸癌のリスクを減らすことができます。大腸内視鏡検査や、場合によっては切除後の病理組織診断で確定します。
3 大腸ポリープの原因
腫瘍性ポリープの原因は年齢や生活習慣が影響していると考えられています。年齢は40歳頃から年齢が高くなるにつれポリープの発生頻度が増加します。特に、高カロリー食・加工肉・赤身肉の過剰摂取などの食生活、過度の飲酒、喫煙……などがリスクと考えられています。当院では理事長の伊勢呂も実践して➖9kgの成果をあげているGLP1ダイエットをお勧めしております。詳しくはこちらから。
その他、稀に「家族性大腸ポリポーシス症」など遺伝的なものが影響している場合もあります。非腫瘍性ポリープは、潰瘍性大腸炎などの炎症によるものが多いと考えられています。
4 大腸ポリープの症状
大腸ポリープが小さいうちは自覚症状がほとんどありません。大きくなったり癌化したりすると、便潜血検査が陽性になったり肉眼的血便が出るなどの出血の症状や、大腸の管腔を塞いでしまうことで便が細くなったり便意はあっても便が少ししか出なかったり、最悪の場合は、口側からの消化物が流れなくなる「腸閉塞」の症状が出ることもあります。
5 大腸ポリープの検査
5.1 便潜血検査
便潜血検査は便中の出血をみる検査で、大腸がん(進行癌)がある場合は90%以上で検査陽性となりますが、腺腫など良性のポリープに関しては10~30%程度しか検査陽性になりません。したがって便潜血検査が陰性であっても大腸内視鏡でポリープが見つかることは多々起こりえます。
5.2 大腸内視鏡検査
大腸内視鏡検査は肛門から内視鏡を挿入し、盲腸(または小腸の一番最後の部分まで)から直腸まで観察するというものです。病変を直接みることができるため、ごく小さな数ミリのポリープでも発見可能です。大きさや形はもちろん、血管構造からポリープの種類や深さまで診断することもできます。さらにその場でポリープを切除することも可能です。当院でも鎮静剤を用いた大腸カメラ(大腸内視鏡検査)を行っております。
5.3 その他~注腸検査・CTコロノグラフィー・血液検査
注腸検査やCTコロノグラフィーは病変の位置の同定には優れますが、条件によっては病変が見えづらくなることがあります。また、これらの検査では、検査時にポリープの切除を行うことができません。
補助検査として、血液検査で貧血や腫瘍マーカーの値のチェックも行う場合があります。
6 大腸ポリープの治療
ほとんどの良性の大腸ポリープと一部の早期の大腸がんは内視鏡で切除することが可能です。内視鏡切除の方法としてポリペクトミーや内視鏡的粘膜切除術(EMR)があります。
6.1 ポリペクトミー
ポリペクトミーは内視鏡の先端からスネアという金属の輪っか状のワイヤーを出してポリープを縛って切除します。高周波電流で焼き切る場合と高周波電流を使用せず切除する方法があります。
6.2 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
EMRは内視鏡の先端から局注針という注射針のようなものを出して、粘膜よりさらに深い層(粘膜下層)に生理食塩水を注射します。ポリープと粘膜が浮き上がってきたら、スネアで縛って高周波電流で焼き切ります。出血のリスクが高いと判断された場合には、ポリープを切除した傷口をクリップで塞ぐなどの処置を加えます。クリップは1~2週間で自然に肛門から体外に排出されます(多くはクリップが非常に小さいためご本人は気づきません)。
7. 治療の注意点
起こりうる合併症として、傷口から血が出る「出血」と、傷口に穴が空く「穿孔」があります。そのため治療後1週間程度は(病変により異なります)、飲酒や激しい運動、旅行を避けるなどの制限が必要になります。また、術後の出血のリスクには、血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)の服用も挙げられるため、この薬を服用している方は事前に必ずお申し出ください。
8. 診療費用
当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ下記のようになります。(3割負担)
尿検査のみ | 2000円前後 |
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エコー検査のみ | 2500円前後 |
採血+尿検査 | 3500円前後 |
採血+尿検査+エコー検査 | 5000円前後 |
胃カメラ | 3500円前後 |
CT検査 | 5000円前後 |
当院では、患者さん全員を番号でお呼びし、全席に仕切りを設けてプライバシーに配慮した診療を行い、経験豊かな専門医が患者さんに寄り添う診察を心がけております。池袋消化器内科・泌尿器科クリニックにお気軽にご相談ください。
名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。