胆嚢ポリープについて
胆嚢ポリープとは、胆嚢の粘膜から胆嚢の内側に発生した隆起のことで、検診や人間ドックなどの腹部超音波検査を行った際に偶然見つかることが多いものです。大部分が良性で、ほとんど癌化することはないと言われていますが、稀に悪性のもの(=胆嚢癌)が存在するケースもあり注意が必要です。この記事では胆嚢の働きや胆嚢ポリープの病態、検査・治療法について解説しますので、参考にしていただければ幸いです。
♦︎目次♦︎
1 胆嚢とは
2 胆嚢ポリープの種類
2.1 良性のポリープ
2.2 悪性のポリープ
3 胆嚢ポリープの原因
4胆嚢ポリープの症状
5 胆嚢ポリープの検査
5.1 体外式腹部超音波検査
5.2 造影CT検査
5.3 MRI検査
6 胆嚢ポリープの治療
7 診療費用
1 胆嚢とは
胆嚢は、肝臓と十二指腸をつなぐ胆管の途中にあり、西洋梨のような形をした消化器です。胆嚢は肝臓で作られた胆汁を貯めておくという役割があります。胆汁には食べ物の消化を助ける働きがあり、食事を摂ると胆嚢に貯めていた胆汁が、胆管を通じて十二指腸に送り込まれます。
2 胆嚢ポリープの種類
良性のポリープが 疑われる所見 |
悪性のポリープ(癌)の 可能性がある所見 |
|
---|---|---|
大きさ | 多くは10mm以下 | 10mm以上 |
数 | 複数 | 1個 |
ポリープの形状 | ポリープに茎がある(有茎性) |
裾野が広い(広基性) 胆嚢の壁が厚い |
以前と比べて | 昔から変わらない | 以前より大きくなってきた |
年齢 | 若い | 60歳以上 |
2.1 良性のポリープ
胆嚢ポリープの大半(90%)以上はコレステロールを主成分とする良性のコレステロールポリープです。大きさは10mm以下で桑の実様の形でポリープに茎があること(有茎性)が多いです。自覚症状はなく、癌化のリスクもないため治療の必要はありません。その他の良性のポリープとしては腺腫や過形成ポリープ、炎症性ポリープがあります。
2.2 悪性のポリープ
一方でポリープの中でも稀に悪性のものがあり、胆嚢癌と呼ばれます。大きさが10mm以上であったり、裾野が広い形(広基性)をしていたり、他にも「胆嚢の壁が厚い」「以前と比較して大きくなってきた」などの所見が認められます。悪性の可能性がある際には治療が必要です。その詳細については後述します。
3 胆嚢ポリープの原因
胆嚢ポリープができる原因は詳しくは分かっていません。コレステロールポリープは、大半が胆汁中のコレステロールが胆嚢粘膜に付着したものであり、近年の食生活の欧米化が原因の一つとなっている可能性が指摘されています。
4 胆嚢ポリープの症状
胆嚢ポリープには、自覚症状はありません。それが大きな特徴と言えます。そのため、自分で気づくというケースはなく、検診や人間ドックなどで腹部超音波検査を行った際に偶然見つかるものが大半です。
5 胆嚢ポリープの検査
検査には体外式の腹部超音波検査や造影CT検査、MRI検査(当院では行なっておりません)、超音波内視鏡検査(当院では行っておりません)が行われます。CT検査やMRI検査ではポリープが小さい場合は写らないことや胆石と見間違えることがあります。まずは患者さんの体の負担の軽さも考え、体外式の腹部超音波検査を行うことが多いです。その他、補助検査として血液検査で肝機能や腫瘍マーカーのチェックも行う場合があります。
5.1 体外式腹部超音波検査
体外から超音波の出る機械を腹部にあてて、患部の状態を見ていくという検査で、痛みはありません。超音波を用いるため、X線検査と異なり、被爆するリスクもありません。ポリープの有無や、有る場合はその場所や大きさなどを確認することができます。
5.2 造影CT検査
造影剤という薬剤を点滴で体内に注入しながら、CT検査を行います。造影剤が血管や臓器を循環している状態で撮影するので、通常のCT検査よりはっきりと、ポリープの有無やその形態を見ることができます。当院でも造影CT検査は行っております。詳しくは当院医師までお尋ね下さい。
5.3 MRI検査
強力な磁石と電波を使って磁場を発生させ、トンネル状の装置の中で画像を撮っていきます。様々な方向からの画像を取得でき、体内の状態をかなり精密に把握することができます。ポリープはもちろん、癌など様々な疾病の確定診断に有効です。
磁場を発生させるときに工事現場のような大きな音がしたり、狭いトンネル状の装置内でじっとしておく必要があったりと、いろいろな制限があります。
また、被爆の心配はありませんが、ペースメーカーや人工内耳といった金属類が体内に入っている人は受けられない場合があります。また、閉所恐怖症の人も注意が必要です。
6. 胆嚢ポリープの治療
胆嚢ポリープに悪性の可能性が少しでもある場合、手術もしくは非常に慎重な経過観察が必要になります。手術は、胆嚢の場合、胃や大腸のポリープの様にカメラでポリープだけを切除することはできず、胆嚢をまるごと摘出する必要があります。全身麻酔の上で、腹腔鏡下、または、開腹での胆嚢摘出術が行われます。術前の胆嚢癌の可能性の高さによって、どちらの術式かを選択します。
胆嚢ポリープが悪性の可能性は低いと判断された場合でも、この部分は組織検査で確定診断をつけることが困難な臓器であることから、定期的に経過観察が必要となります。「ポリープが大きくなっていないか」「形状に変化がないか」などを、腹部超音波検査や造影CT検査などの方法で、定期的(半年~1年)にチェックする必要があります。
またその際は、経腹超音波検査では観察が難しいケースもある胆管なども、同時に調べることができます。
7. 診療費用
当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ下記のようになります。(3割負担)
尿検査のみ | 2000円前後 |
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エコー検査のみ | 2500円前後 |
採血+尿検査 | 3500円前後 |
採血+尿検査+エコー検査 | 5000円前後 |
胃カメラ | 3500円前後 |
CT検査 | 5000円前後 |
当院では、患者さん全員を番号でお呼びし、全席に仕切りを設けてプライバシーに配慮した診療を行い、経験豊かな専門医が患者さんに寄り添う診察を心がけております。
池袋消化器内科・泌尿器科クリニックにお気軽にご相談ください。
名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。