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嘔吐・吐血、下血

誰もが一度は『嘔吐(吐く)』の経験があるのではないでしょうか? 原因がわからないで嘔吐すると不安が強くなる方が多いと思います。

一般に嘔吐とは、胃の中のものが食道へ逆流し、口から外に吐き出されることを言います。嘔吐の約7割は、消化器疾患が原因と言われますが、それ以外が原因なっている場合もあり、思わぬ病気が隠れていることもあります。また、嘔吐したものの中に血液が認められる状態を『吐血』といいます。吐血の原因が消化管や腸からの出血の場合は、合わせて下血(肛門からの出血)を認めることもあります。この記事では嘔吐•吐血、下血について詳しく解説しますので参考にしていただければ幸いです。

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胃内視鏡検査

 

♦︎目次♦︎

1 嘔吐
 1.1 中枢性嘔吐
 1.2 末梢性嘔吐
 1.3 嘔吐の治療
2 吐血
 2.1 吐血の原因
 2.2 吐血の治療
3 下血
 3.1 下血の種類
 3.2 下血の原因
 3.3 下血の治療
4 診療費用

1 嘔吐

嘔吐は、大きく2つのタイプに分けることができます。吐き気を感じる中枢が刺激されることで起こる『中枢性嘔吐』と、消化器などの臓器が刺激されて起こる『末梢性嘔吐』です。

そのほか、薬の副作用や妊娠による悪産(つわり)などを原因とする嘔吐もあり、嘔吐の原因を明確にすることが重要となります。

1.1 中枢性嘔吐

脳内にある嘔吐中枢(吐き気を感じる部分)が刺激されることによって起きる嘔吐で、下記のような原因があります。

①脳圧亢進

頭部外傷、脳腫瘍、脳出血、くも膜下出血、髄膜炎、放射線照射など

②脳循環障害

ショック、低酸素性脳症、脳梗塞、片頭痛、脳炎、髄膜炎など

③薬の副作用

抗菌薬、抗悪性腫瘍薬、降圧薬など様々な薬の副作用

④毒物

重金属、ガス など

⑤放射線

がんなどに対する放射線治療

⑥感染症

O157感染症などの細菌毒素

⑦内分泌疾患

肝性脳症、糖尿病性ケトアシドーシス、尿毒症、妊娠悪阻 など

⑧代謝疾患

甲状腺クリーゼ、副腎不全、アジソン病 など

⑨精神的要因

うつ病、てんかん、ヒス テリー、抗悪性腫瘍薬投与時の予期性嘔吐など

1.2 末梢性嘔吐

末梢性嘔吐とは、内臓からの反射によっておきる嘔吐です。急性胃腸炎や胃・十二指腸潰瘍、腸閉塞などの消化性疾患や肝臓・胆のうの病気、腎臓や泌尿器疾患の病気に伴い嘔吐が起きることがあります。原因となるのは、下記のような疾患です。

実際の胃潰瘍の写真

①消化管疾患

逆流性食道炎、食道裂孔ヘルニア、急性胃粘膜病変、胃・十二指腸潰瘍、虫垂炎など

②消化管通過障害

消化管腫瘍、幽門狭窄、術後腸閉塞、内ヘルニア、ヘルニア嵌頓など

③肝胆膵疾患

急性肝炎、急性胆嚢炎、胆管炎、急性膵炎、悪性腫瘍など

④循環器疾患

心不全、狭心症、心筋梗塞など

⑤泌尿器科疾患

尿路結石、急性腎炎、腎盂腎炎など

⑥耳鼻咽喉科疾患

メニエール病、中耳炎、乗り物酔いなど

⑦眼科疾患

緑内障など

⑧ 呼吸器科疾患

胸膜炎、咳嗽発作など

⑨婦人科疾患

子宮付属器炎、月経前症候群、更年期障害など

⑩脊髄疾患

脊髄癆、多発性硬化症など

⑪自己免疫性疾患

結節性多発動脈炎、強皮症、側頭動脈炎など

1.3 嘔吐の治療

上記に解説したように嘔吐を引き起こす原因は様々であり、嘔吐以外の症状の有無、既往歴、服用している薬や摂取した食べ物などと嘔吐の関連を調べる必要があります。血液検査・腹部エコー・胃カメラなどを行い、原因を診断し、適切な治療を行います。

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胃内視鏡検査


2 吐血

吐血は、胃の内容物などと一緒に消化管から出血した血液が吐き出されることをいいます。ちなみに、口腔・咽頭・鼻腔からの出血は、吐血とはいいません。

吐血は大量に出血するとショック症状を起こし、命を脅かすこともありますので、できるだけ早めの受診が重要です。吐血を引き起こす代表的な原因は、下記のような疾患です。

2.1 吐血の原因

①胃潰瘍・十二指腸潰瘍

潰瘍により粘膜がはがれ、粘膜の奥にある血管が露出して破れ、出血します。胃潰瘍や十二指腸潰瘍を放置すると潰瘍が広がり、出血に至る場合があります。稀に痛みなどの自覚症状がなく突然、吐血することもあります。

②食道静脈瘤・胃静脈瘤

食道静脈瘤・胃静脈瘤は、肝硬変の合併症です。肝硬変になると、消化管から肝臓への血流が制限され、静脈瘤が形成されます。静脈瘤が大きくなって破裂してしまうと、吐血します。

③マロリーワイス症候群

マロリーワイス症候群は急性アルコール中毒や大量飲酒後の激しい嘔吐により、食道と胃のつなぎ目の粘膜が裂けて吐血するというものです。

④胃がん、食道がん

胃がん食道がんが浸潤した組織から出血が生じることがあります。

2.2 吐血の治療

止血と、原因となる疾患の治療を行います。多くの場合、内視鏡を使用して止血を行います。同じく内視鏡で検査も行い、吐血の原因となった疾患を診断し、適切な治療を行います

3 下血

下血とは肛門からの出血の総称です。 血便が(血液が混じった便)がでる場合、便とは別に血そのものがでる場合など、全てを下血と言います。その原因は、胃や腸などの消化管の出血や、肛門からの出血と考えられます

3.1 下血の種類

①鮮血便

便に鮮やかな赤い血液が混じります。便器やトイレットペーパーなどに赤い血液が付着する場合も、鮮血便です。
鮮血便は、肛門や直腸からの出血が多い傾向にあります。

②暗赤色便

出血から時間が経過している場合、暗赤色便になります。
暗赤色便は、大腸の奥で出血した血液が便と混ざっている可能性が高いと考えられます。

③粘血便

血液だけでなくゼリー状の粘液が便に混じっている状態です。
潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性慢性疾患や、出血性大腸菌などによる感染症の可能性が高いと考えられます。

④黒色便

黒くてドロドロしたタール状の便で、肛門から遠い胃や十二指腸からの出血と考えられます。時間が経過するため血液が黒くなります。胃がん、胃潰瘍、十二指腸潰瘍などが疑われるため、胃カメラ検査(胃内視鏡検査)が必要です。

3.2 下血の原因

下血が認められた場合、血便の特徴から疑われる疾患について必要な検査を行います。
原因となる疾患の代表的なものは下記のとおりです。

  1.  感染性大腸炎
  2.  潰瘍性大腸炎
  3.  クローン病
  4.  虚血性大腸炎
  5.  大腸ポリープ
  6.  大腸がん
  7.  大腸憩室出血
  8.  メッケル憩室
  9.  腸重積症
  10.  胃潰瘍
  11.  十二指腸潰瘍

3.3 下血の治療

 

下血を認めた場合、便の検査を行います。また、出血箇所を特定するために直腸指診を行います。肛門や直腸に問題がある場合には、直腸指診で発見できます。

次に大腸カメラ(下部消化管内視鏡検査)を行い、腸粘膜の状態を直接観察し、出血箇所を調べ、組織を採取して生検を行います。また、必要に応じて、腹部超音波検査、CT検査などを行い、原因疾患を特定し、適切な治療を行います。

漫画でわかる大腸カメラ検査
大腸内視鏡検査

以上に解説したように嘔吐・吐血、下血は、重篤な疾患のサインである場合が多く、治療が遅れると命に関わる可能性もあるため、自己判断は非常に危険です。大量の吐血や下血を認めた場合には、直ちに医療機関を受診してください。

4 診療費用

当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ下記のようになります。(3割負担)

尿検査のみ 2,000円前後
エコー検査のみ 2,500円前後
採血+尿検査 3,500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5,000円前後
胃カメラ 3,500円前後
大腸カメラ 6,000円前後
CT検査 5,000円前後

当院では、患者さん全員を番号でお呼びし、全席に仕切りを設けてプライバシーに配慮した診療を行い、経験豊かな専門医が患者さんに寄り添う診察を心がけております。

吐き気や嘔吐、吐血、下血があるという方は、池袋消化器内科・泌尿器科クリニックにお気軽にご相談ください。

この記事を執筆した人
久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

池袋院

大宮院

新橋院

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