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腹痛(お腹が痛い、急なお腹の痛み)

『お腹が痛い』と言った症状は、誰もが経験したことがあると思いますが、実は、日本人の10~15%が腹痛を伴う下痢や便秘、膨満感などの症状に悩まされていると言われます。
しかし、その原因は様々で、腹痛がなんらかの疾患のサインの場合もあります。この記事では、様々な疾患の可能性も含め、腹痛について詳しく解説していきます。
参考にしていただき、心配な症状があるという方クリニックや病院を受診することをお勧めします。

♦︎目次♦︎

1 腹痛について
2 腹痛の原因
 2.1 消化器科的疾患からくる腹痛
  2.1.1 胆石症
  2.1.2 感染性胃腸炎(細菌性胃腸炎、ウイルス性胃腸炎)
  2.1.3 胃十二指腸潰瘍
  2.1.4 アニサキス 症
  2.1.5 逆流性食道炎
  2.1.6 急性膵炎
  2.1.7 過敏性腸症候群
 2.2 泌尿器科系疾患からくる腹痛
  2.2.1 尿管結石症
  2.2.2 膀胱炎
  2.2.3 膀胱がん
  2.2.4 前立腺がん
 2.3 その他の疾患からくる腹痛
3 腹痛の検査
 3.1 血液検査
 3.2 尿検査
 3.3 超音波検査
 3.4 レントゲン検査
 3.5 上部消化管内視鏡検査
 3.6 CT検査
4 診療費用

1 腹痛について

腹痛にも様々な『痛みの特徴』があり、それは、腹痛の原因を探るうえで重要な指標となります。痛みを感じた際には、以下の点を観察してください。

  • いつから痛みが始まったか
  • 腹部のどの場所が痛むか
  • 急激な痛みか
  • 痛みが続く慢性的痛みか
  • 強い痛みと弱い痛みを繰り返す間欠的な痛みか

急激な腹痛の場合には、重篤な疾患の可能性が高い傾向にあり、慢性的な痛みには軽症の疾患の可能性が高い傾向にありますが必ずではありません。また、痛みの程度の判断としては、「仕事中や何かをしているときは痛みを感じない」という場合は、比較的、軽度の痛みといえます。「痛みで眠れない・目が覚める」という場合は緊急性を要する病気の可能性があり、早めに適切な検査ができる医療機関を受診することが望ましいでしょう。

2 腹痛の原因

腹痛の原因には、次に解説するような消化器科系疾患・泌尿器科系疾患・婦人科系疾患・腹部大動脈瘤などからくる疾患などがあります。

2.1 消化器科系疾患からくる腹痛

胃や十二指腸、膵臓、胆のうに原因がある場合は、上腹部に強い痛みを感じる傾向があります。

2.1.1 胆石症

胆石症は無症状の方も多い一方で、胆石発作が起きると右季肋部痛(みぎきろくぶつう、右肋骨下の痛み)が起き、右の肋骨の下に差し込むような痛みを感じます。痛みの程度は強い痛みから鈍痛まで様々です。胆石が胆管に詰まって胆汁のうっ滞や細菌感染が起きると、痛みのほかに発熱や嘔吐を伴うこともあります。胆石症は、40~50代の肥満女性に多い傾向があります。治療法は「胆石溶解療法」「体外衝撃波」などの内科的治療と、手術によって胆のうを摘出する外科的治療があります。右季肋部痛があるという方は、エコーやCTなどの検査ができる消化器内科を受診することをお勧めします。

2.1.2 感染性胃腸炎(細菌性胃腸炎、ウイルス性胃腸炎)

感染性胃腸炎には、「細菌性胃腸炎」と「ウイルス性胃腸炎」があります。

<細菌性胃腸炎>

細菌性胃腸炎は、主に「食中毒」で、食べ物に付着した細菌を摂取することで起きる胃腸炎です。もちろん食べ物以外から口を通して細菌が入る場合とあります。原因となる細菌の種類によって症状は異なり、軽い腹痛や下痢で回復するものから「腸管出血性大腸菌O157」のように、激しい出血性の下痢や嘔吐などを起こし重症化するものもあります。

一般に原因となる食べ物を摂取後、5~72時間経過して発症します。細菌性胃腸炎の治療では、抗生物質と整腸剤を服用し、下痢に伴う脱水を防ぐためこまめに水分を取り、休養します。下痢止めを服用することで腸内に細菌が増殖し、症状が悪化する場合もあるため、市販の下痢止めなどを使用せず、医療機関を受診することをお勧めします。

<ウイルス性胃腸炎>

ウイルス性胃腸炎は、ウイルス感染によって起きる胃腸炎で、ロタウイルス・アデノウイルス・アストロウイル ス・ノロウイルスなどがよく知られており、症状としては嘔吐や下痢、発熱を伴う場合もあります。ウイルス性胃腸炎の治療でも細菌性胃腸炎と同様に、下痢止めを飲んでしまうと、ウイルスを体外に排出することができなくなり症状が長引く可能性があります。ウイルスが便とともに排出されると症状は収束していきますが、必要に応じて整腸剤や吐き気止めを服用することもあります。

2.1.3 胃十二指腸潰瘍

胃十二指腸潰瘍は、右上腹部に痛みが現れやすく、空腹時や夜間に痛みが強くなる傾向があります。胃十二指腸潰瘍の原因は、ピロリ菌感染・ストレス・鎮痛剤の服用などによって起こる慢性的な炎症です。慢性的な炎症によって胃粘膜の防御力が低下し、自身の胃酸が胃や十二指腸の組織を消化してしまい、えぐれてしまうという疾患です。焼けるような痛みや疼くような痛みなど感じ方は様々です。粘膜からの出血を伴う場合もあり、便が黒色になることもあります。
治療は、胃酸を抑制する内服薬の服用を行い、内視鏡検査によりピロリ菌感染が認められた場合には、抗生物質などの服用によりピロリ菌の除菌を行います。

2.1.4 アニサキス症

「アニサキス」は約15ミリの白い糸状の体を持つ寄生虫の一種で、魚介類を介してヒトに感染します。胃または、腸にアニサキス症が発症しますが、それぞれ症状が異なります。

<胃アニサキス症>

アニサキスが胃壁に食いつき、発症します。アニサキスが寄生した魚介類を摂取した後、3~4時間後に発症し、上腹部痛・吐き気・嘔吐などの症状を起こします。

<腸アニサキス症>

アニサキスが腸に食いつき、発症します。
アニサキスを経口感染後、10数時間~数日後に、強い下腹部痛・吐き気・嘔吐・発熱などの症状が出ます。まれに、腸閉塞や腸穿孔などの合併症を起こすこともあります。

アニサキス症の治療では、内視鏡下でアニサキスを除去しますが、難しい場合には症状を抑える薬を服用し、アニサキスが死滅するのを待ちます。通常、人の体に入ったアニサキスは、1週間ほどで死滅します。

2.1.5 逆流性食道炎

逆流性食道炎とは、胃の中の胃酸が食道に逆流し炎症を起こすことで様々な症状を引き起こすものです。ゲップや胸やけ、胃のもたれなどが特徴的な症状ですが、食後にみぞおちの辺りに痛みを感じるという場合もあります。逆流性食道炎の治療としては、基本的には胃酸を抑える内服薬の服用と、生活習慣の改善を行います。詳しくはこちらをご覧下さい。

2.1.6 急性膵炎

急性膵炎とは、消化のため膵臓から分泌される酵素が活性化し、 自分の膵臓やその周辺の組織を消化してしまい炎症を起こす病気です。みぞおちから左脇腹の強い痛みが、急性膵炎の特徴です。また、膵臓は胃の裏側に位置するため背部痛を伴うこともあります。急性膵炎の原因は、多量飲酒や胆石症、脂質異常症などによる場合と、原因が分からないケースとがあります。
急性膵炎の治療法は、入院治療を必要とすることも多く、症状に合わせて必要な薬の点滴を行います。膵臓の炎症がひどく壊死がある場合には、手術による外科的治療を行います。

2.1.7 過敏性腸症候群

近年、増加傾向にある過敏性腸症候群では「下痢」と「便秘」を長期に渡り繰り返し、腹痛を伴うこともあります。過敏性腸症候群に悩む患者さんは非常に多く、幅広い年代の方が罹患しています。その原因は、緊張・不安などによる精神的ストレス、疲労や睡眠不足、不規則な食生活や偏食といった身体的ストレスとされており、検査を行っても特に異常が認められない場合も多く「現代病」と言われています。治療では、それぞれの症状を改善する薬や整腸剤を服用します。

2.2 泌尿器科系疾患からくる腹痛

上記で解説してきた腹痛は消化器疾患によるものですが、腹痛には泌尿器科疾患が原因となっていることもあります。

2.2.1 尿管結石症

尿管結石症は「痛みの王様」と呼ばれるほどで、非常に強烈な痛みを伴います。腎臓から尿管に結石が落ちて詰まることで、腰や左脇腹に痛みが生じるものです。血尿・頻尿・残尿感を伴う場合もあります。発熱を伴う場合は、緊急的な処置が必要なケースもありますので、早めに医療機関を受診することをお勧めします。

尿管結石症の治療は、自然に結石の排泄を促すのが基本ですが、体外衝撃波による治療や経尿道的内視鏡治療を検討することもあります。詳しくはこちらをご覧下さい。

2.2.2 膀胱炎

膀胱炎は、若い女性に多い傾向にあり、下腹部痛を伴う場合があります。また、残尿感・頻尿・排尿時痛・血尿が基本的な症状です。膀胱炎の治療は、抗生剤を服用いたします。詳しくはこちらをご覧下さい。

2.2.3 膀胱がん

初期の膀胱がんは自覚症状が乏しく、腹痛はありませんが、進行してくると下腹部の痛みを伴うことがあります。膀胱がんの初期症状を見過ごさず、早期に発見し治療することが重要です。「何も症状がないのに血尿が出る」という、無症候性の肉眼的血尿があった場合、膀胱がんが疑われます。また、血尿の他にも頻尿や残尿感を認める場合もあります。そのような症状があった場合には、すぐに泌尿器科のクリニックや病院を受診してください。

2.2.4 前立腺がん

前立腺がんでは、下腹部痛や違和感を覚えることがあります。近年、前立腺がんは増加傾向にあり、2025年には日本人男性の癌罹患率は、前立腺がんが一番になると言われています。その背景には、食の欧米化などの影響と、PSA検査の普及など医療の進歩により早期発見が可能となったことがあります。早期発見・早期治療ができれば、前立腺がんは基本的には命を脅かす可能性は低い癌ですが、発見が遅れたり、治療せず放置したりすると命に関わることもあります。油断は禁物です。治療としては、ホルモン療法や放射線療法や手術療法があり、手術療法には「ロボット治療」を用いる医療機関も増えています。また、すぐに治療が必要でない場合には、経過観察を行いながら過剰な治療を防ぐ「PSA監視療法」を行います。

2.3その他の疾患からくる腹痛

<大動脈の障害>

代表的なものが大動脈瘤と大動脈解離です。どちらも突然の激しい腹痛に襲われます。大動脈が破裂すれば死に至る可能性があり、緊急手術が必要なこともあります。当院でも、軽い腹痛で受診した方で大動脈解離が発見された患者様もいらっしゃいます。軽い腹痛だとしても、心配な場合は安心を得るためにも必ず医療機関を受診しましょう。

<婦人科系疾患>

女性の場合は、月経痛や卵巣・子宮など婦人科疾患を原因とする腹痛が起きることもあります。

<整形外科系疾患>

運動後に起きる筋肉痛は誰もが1度は経験したことがあると思いますが、腹筋を使った運動では、翌日以降に腹痛が起きることがあります。筋肉痛は、数日で自然に回復しますが、長引く場合には他の疾患を疑い、受診することをお勧めします。

3 腹痛の検査

腹痛には、様々な原因が考えられることが多く、検査によって、確定診断を行います。

3.1 血液検査

血液検査によって「炎症」「貧血」の有無を確認します。炎症がある場合には感染が疑われます。また、肝機能や腎機能を調べることは、尿管結石や胆石・胆嚢炎の可能性を探る指標となります。

3.2 尿検査

泌尿器科系疾患では尿検査が非常に重要となり、尿管結石症など、尿路系・腎尿管膀胱系の疾患が原因となる痛みがある場合には、尿の中に赤血球や白血球が確認されることがあります。また、前立腺がんなどでは、尿中に血液が出ることもあります。

3.3 超音波検査

消化器系疾患が疑われる場合には、「消化管の浮腫」「胆のう結石」「腹水」の有無を調べます。泌尿器科疾患が疑われる場合には、尿管・膀胱・前立腺などの超音波画像を確認します。また、大動脈の状態も見ることができ、超音波検査は、体への負担が少なく、かつ、有益な検査です。

3.4 レントゲン検査

腹部のレントゲン検査で、腸内のガスや便の状態を知ることができます。また、尿管結石を疑う場合には、レントゲン検査で結石の大きさや位置が分かることがあります。

3.5 上部消化管内視鏡検査

逆流性食道炎、胃炎、胃・十二指腸潰瘍、アニサキス症、ピロリ菌などが分かります。また、粘膜を直接観察することができるため、胃がんや十二指腸がんを見つけることもできます。
当院では上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)は麻酔を用いて眠ったまま行うこともできます。詳しくは当院医師、スタッフまでお尋ねください。

3.6 CT検査

他の検査で原因が分からない場合や疑わしい疾患がありさらに詳しい情報が必要な場合には、CT検査を行います。CT検査では、膵臓・肝臓・胆道・腎臓・脾臓・腹部大血管などの詳細な観察ができます。尿管結石では、レントゲン検査では判断しにくい結石を詳しく見ることができます。CT検査は腹痛の原因を探るためには非常に重要な検査となります

4 診療費用

当院は全て保険診療です。
初診の診療費用は薬代を除き、おおよそ下記のようになります。(3割負担)

尿検査のみ 2000円前後
エコー検査のみ 2500円前後
採血+尿検査 3500円前後
採血+尿検査+エコー検査 5000円前後
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ) 4000円前後
CT検査 5000円前後

当院では、患者さん全員を番号でお呼びし、全席に仕切りを設けてプライバシーに配慮した診療を行い、経験豊かな専門医が患者さんに寄り添う診察を心がけております。
腹部の痛みがあるという方は、池袋消化器内科・泌尿器科クリニックにお気軽にご相談ください。

この記事を執筆した人
久田裕也

名古屋大学出身
消化器病学会専門医
消化器内視鏡学会専門医
内科認定医
肝臓、胆嚢、膵臓から胃カメラ、大腸カメラまで消化器疾患を中心に幅広く診療を行っている。

池袋院

大宮院

新橋院

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