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夜間頻尿を自力で治す方法

[2024.01.22]

はじめに

夜間頻尿にお悩みの⽅に朗報です。
「その夜間頻尿、⾃⼒で治せるかもしれません。」

⾃⼒で治せるかどうかはこれから述べる夜間頻尿のタイプを調べないといけませんが、約8割の⽅のタイプはちょっとした⽣活習慣を試す事で治せる可能性が⾼いのです。

「できれば医療機関を受診したくない」と思われている⽅も多いと思います。そこでこの記事では薬に頼らず、夜間頻尿を⾃⼒で治せる⽅法を泌尿器科専⾨医の⽴場から皆様に説明させていただこうと思います。

夜間頻尿とは

夜間頻尿とは「夜寝てから起きるまでの間に1回以上トイレに起きる事」を⾔います。しかしこれは50歳以上の2⼈に1⼈に当てはまると⾔われており、「⾃分もそう」という⽅も多いのではないでしょうか。このうち、病的と⾔われる夜間頻尿は夜間2回以上起きるケースを⾔います。⼈によっては7〜8回起きることもあり、⽇中の眠気に繋がったり、夜間の転倒に繋がったりするため決して軽視できない症状です。

夜間頻尿の原因

夜間頻尿の原因は⼤きく2種類に分けられます。

① 夜間にどんどん尿が作られてしまうため、何度もトイレに⾏くパターン

若い頃は、尿は⽇中に多く作られ、夜間に作られる量は少ないため、朝まで起きることなく膀胱内に溜められるようになっています。しかし加齢と共にそのパターンは逆転する傾向にあります。つまり⽇中に作られる量が少なくなり、夜間に多く作られてしまうため、すぐに膀胱がいっぱいになり、尿意を感じて何度も起きてしまうのです。
これを夜間多尿と⾔い、夜間頻尿の原因の8割を占めます。

② 膀胱の容量が少ないため、少ししか尿が溜まっていないのに何度もトイレに⾏くパターン

⼀⽅で膀胱に少しの尿しか溜まっていないのにも関わらず、トイレに⾏きたくなって何度も起きてしまう場合は過活動膀胱や感染症など何らかの病気が隠れている場合がありますので、必ず泌尿器科を受診するようにしましょう。

今回お話しする「⾃⼒で治す夜間頻尿」は①の夜間多尿のパターンの⽅に⾼い効果が期待できる⽅法になります。

夜間頻尿の検査

今まで述べてきた夜間頻尿の2つのパターンのうち、⾃分の夜間頻尿はどちらに当てはまるのか簡単に調べられる⽅法があります。

それは「排尿⽇誌」と呼ばれるもので、その名の通り排尿についての⽇誌です。
1⽇24時間を通して排尿した時間、量を記録していきます。
この⽇誌を⾒れば⼀⽬瞭然、夜間多尿なのか、または1回量が少ないにも関わらず夜間に何度もトイレに⾏っているのかが分かります。
参考として、1回の尿量が200〜300mlある場合は⼗分な量を溜められると判断し、100ml以下の場合は1回量が少ないと判断します。
排尿⽇誌はネット上で簡単にダウンロードできますし、尿量を測定する排尿カップは薬局や amazonなどで購⼊することができますので、ご⾃⾝の夜間頻尿のパターンをぜひ把握してみてください。

ここで「① 夜間多尿」のタイプの⽅は、今から述べる⽣活習慣を試すことで、夜間頻尿を⾃⼒で治せるかもしれません。

⾃⼒でできる夜間頻尿の治療その① 塩分と⽔分の摂取量を少なくする

塩分を多く摂ると、それを薄めようと体の中の⽔分が⾎液中にどんどん引き込まれていきます。その結果、⾎管内の⽔分が増えるため、尿の量も多くなってしまうのです。さらに塩分を摂取すると喉が渇きますので、⽔分を多く摂ってしまうことも尿量が増加する事に拍⾞をかけてしまいます。
そのため、⼣⾷時には塩分を少し控えたり、寝る3〜4時間前から⽔分を少し控えたりする事で夜間の尿量を減らすことができます。

⾃⼒でできる夜間頻尿の治療その② アルコール・カフェイン・⾟い物を避ける

アルコールやカフェインなどは利尿作⽤(排尿を促進させる)があります。
そのため、アルコールは適正量を守り、夜寝る前にはコーヒなどのカフェインを避けることで夜間の尿量を減らせることが期待できます。
さらに、アルコールや⾟いものは膀胱を刺激する働きがありますので、⾷べ過ぎ飲み過ぎには注意が必要です。
このように夜間多尿の症状は⽣活習慣と密接に結びついていることが多いのです。

⾃⼒でできる夜間頻尿の治療その③ 薬を変える

あまり知られていませんが、治療のために服⽤している薬が原因で頻尿になってしまう場合があります。頻尿の原因となる薬の⼀部を下記の表にしてみました。

カルシウムブロッカー(⾼⾎圧治療薬) ノルバスク・アムロジピン
利尿剤 ラシックス・ルプラック
SGLT2阻害薬(糖尿病治療薬) カナグル・フォシーガ
膀胱筋の働きを強める薬 ウブレチド
抗精神病薬 オランザピン・ジプレキサ

⽇本では⾼⾎圧症の患者様は約4300万⼈いると⾔われています。⾼⾎圧に対する第⼀選択薬であるノルバスクやアムロジピンなどのカルシウム拮抗薬やカルシウムブロッカーと呼ばれる薬は頻尿や夜間多尿の原因となります。
そのため、頻尿や夜間多尿の症状にお困りの⽅で⾼⾎圧の治療のためにカルシウムブロッカーを飲まれている⽅はお薬の種類を変更することで症状が改善されることが期待できますので、主治医の先⽣に相談してみてください。

その他にも表の通り、頻尿の原因となる薬があります。これらの薬を飲んでいるからと⾔って必ず頻尿や夜間頻尿になるわけではありませんが、頻尿や夜間頻尿の症状でお困りの⽅は普段服⽤されている薬の中に原因があるかもしれません。

⾃⼒でできる夜間頻尿の治療その④ 弾性ストッキングを履く

朝は浮腫んでいないのに⼣⽅になると⾜が浮腫むという⽅で、夜間頻尿の症状にお悩みの⽅は、弾性ストッキングを履くことで症状の改善が期待できます。
⼣⽅になると⾜が浮腫むのは、時間の経過とともに重⼒の影響で⾜に余分な⽔分が溜まってしまうために起こります。就寝時には体を横にするため、重⼒の影響がなくなり、⾜に溜まった⽔分は⾎管に⼊って全⾝をめぐり、余分なものは尿として夜間に排出されます。その結果、夜間頻尿に繋がってしまうという訳なのです。
と⾔うことは、そもそも浮腫まないようにすれば夜間、全⾝に返ってくる⽔分がなく、夜間に尿が過剰に作られることもなく、夜間頻尿にもならないということに繋がります。
その対策として浮腫み予防の「弾性ストッキング」をお勧めします。弾性ストッキングを履く事で⾜の浮腫みを防ぐことができますし、ひいてはそれが夜間の尿量を防ぐことにも繋がります。
当院の夜間多尿の患者様のうち、浮腫みの症状を伴っている患者様にもこれを勧めており、多くの⽅に効果が現れています。
弾性ストッキングはドラッグストアなどでも簡単に購⼊できますので、膝下タイプのものを購⼊していただき、まずは試してみてはいかがでしょうか。

それでも夜間頻尿が治らなかったら

必ず泌尿器科を受診してください。夜間頻尿、夜間多尿を改善させる薬もありますので、専⾨医による診断を受けましょう。

まとめ

夜間頻尿はタイプによっては薬に頼らずに⾃⼒で治せるものもありますので、今回はその⽅法を4つ紹介させていただきました。これらを試すことでかなり多くの⽅の夜間頻尿が改善されるのではないでしょうか。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の外来診察を行なう。
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

 

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