大腸がんの初期症状5選について
はじめに
大腸がんの発生率は増加傾向にあります。その原因として、大腸がん検診の普及、食生活の欧米化、喫煙、アルコール摂取などが挙げられます。
どんな癌にも共通して言える事ですが、癌ができてしまっても初期には自覚症状がほとんど現れません。
しかし、体の中でがん細胞が徐々に増えていくと、特定の症状が現れてきます。そのため、早期発見、早期治療には、その初期症状を見逃さないことがポイントとなります。
「大腸がん治療ガイドライン2022年度版」を参考に、本日は大腸がんの初期症状5選について皆様に分かりやすく説明させていただきます。
1、大腸がんについて
現在、大腸がんは日本でかかる方の数が男女合わせて一番多い癌となっています。年齢が50代を超えると増加していき、女性よりも男性の罹患数が多くなっています。
癌と聞くと深刻な状態を想像しがちですが、大腸がんは早期発見できれば完治できる可能性が非常に高い癌なのです。
2、そもそも大腸とは
大腸は小腸から続く盲腸から始まり、上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸→肛門とつながっています。長さは1.5メートルから2.0メートルもあります。
私たちが食べたものは食道を通り、胃、十二指腸、小腸を通過して大腸に到着します。小腸では胃や十二指腸で消化された食べ物をさらに分解、吸収する働きがあります。
さらに大腸ではそれらの残りカスの水分の吸収が行われます。
そこで大腸から正常に水分が吸収されないと、下痢になったり、便秘になったりしてしまいます。したがって、下痢や便秘はなんらかの大腸からのサインの可能性があります。
3、大腸がんの初期症状
これから説明する症状は必ずしも大腸がんの確定診断とはなりませんが、今まで症状がなかったのに最近急に症状が現れてきたなどの場合には「大腸がんの初期症状かもしれない」と考え、医療機関を受診する事をお勧めします。
3-1 便の性状の変化
今まで普通の便が出ていたのに急に便秘になった、下痢になったという場合には大腸がんを疑うサインでもあります。また、大腸がんがあることで便の通り道が狭くなり、便が細くなるなどの症状が起こることもあります。
3-2 血便
便の中に血液が混じっている状態を血便と言います。
大腸がんではがん細胞が血管をどんどん作っていく血管新生という状態が起こります。
癌が作る血管は非常に脆くて破れやすいですので、便が通る際に擦れた刺激で出血してしまい、これが血便となって現れます。
また、痔の症状でも肛門が切れたり、肛門の血栓などから出血したり、血便となります。血便があるため、痔を疑って来院され、検査の結果、大腸がんが見つかることもあります。
3-3 体重減少
癌が大きくなってくると意図しない体重減少が見られます。これはがん細胞が成長し、栄養を奪ってしまうために起こる症状です。
何もしないのに体重がどんどん減っていく、しっかり食べているのに体重が減っていく、食欲がないなどの場合は、大腸がんや他の悪性新生物(癌)の進行が考えられます。
また、体重減少は大腸がんだけではなく、深刻な病気が隠れている可能性がありますので、そのような場合には必ず医療機関を受診しましょう。
3-4 貧血
大腸がんからの出血が続く場合には、ヘモグロビンの量が減って貧血となってしまいます。
まれに血便に気づかずに経過し、動機、息切れ、立ちくらみなど貧血の症状で受診されて、精密検査の結果、大腸がんが見つかることもあります。
3-5 お腹の張り・痛み
大腸がんの症状が進み、腫瘍が大きくなってくると腸を塞ぎ、便がたまり、ガス(おなら)も排出されにくくなってきます。
そのためお腹が張って、痛みとなって現れることがあります。受診しないで放置してしまうと、腫瘍が完全に腸を塞ぎ、腸閉塞の症状となり、命に関わる場合もあるため、放置することは非常に危険です。
4、大腸がんのリスク
4-1 加齢
大腸がんは50代以降から急に患者様の数が増え、それ以降も加齢と共に患者様の数も増加します。
4-2 遺伝
遺伝性の大腸がんは全ての大腸がんのうち5%で、血縁者(親、兄弟姉妹、伯父、叔母、甥、姪など)に高頻度で大腸がんが発生すると言われています。そのため、血縁者に大腸がんの方がいる場合には定期的な健診が非常に大切です。
4-3 アルコール
アルコールは大腸がんだけではなく、全ての癌や生活習慣病の原因となります。アルコールは適正量を摂取するようにしましょう。またアルコールの摂り過ぎは肥満に繋がり、肥満も大腸がんのリスクになります。
当院では理事長の伊勢呂も実践して➖9kgの成果をあげているGLP1ダイエットをお勧めしております。詳しくはこちらから。
4-4 喫煙
タバコの煙の中には5300種類もの化学物質が含まれており、発癌性物質も含まれています。癌を予防するためには禁煙する事を強くお勧めします。
4-5 赤身肉・加工肉
加工肉とはハム、ソーセージ、ベーコンなど保存のために処理を施した肉製品のことです。
米国疾病管理予防センター(CDC)の2020年のレビューによると、加工肉は大腸がんのリスクを増加させる可能性があると言われています。
また、WHOの外部組織であるIARCによると、加工肉に発がん性物質があると報告されています。加工肉と大腸がんとの関連がデータで報告されていますので、取りすぎには十分注意しましょう。
4-6 大腸ポリープ
大腸ポリープがある場合にはポリープが癌化してしまうと言われています。
大腸内視鏡でポリープが見つかった場合には切除することがほとんどですが、ごく小さいポリープは経過観察すること
もありますので、その場合には定期的に検査を受けることが大切です。大腸ポリープの診断には大腸内視鏡検査が不可欠です。当院では眠ったままの苦しまない大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行っております。詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。
5、大腸がんの検査
5-1 便潜血検査
便潜血検査は主に健康診断や人間ドック、行政の健康診断などで行われる検査で、便の中に血液が混じっていないかを調べ
る検査です。
体に負担がかからず、とても簡単にできる検査です。便潜血検査で便の中に血液が混じっていることが判明したら、次の段階の検査に進んでいきます。
5-2 大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
肛門からカメラを入れ、盲腸から直腸まで大腸全体を観察する検査です。
検査のために腸の中をきれいにする準備をする必要がありますが、直接カメラで大腸の中を観察することができますので、大腸がんの確定診断の一つとして行う検査です。
また、大腸がんだけではなく、ポリープがないか、大腸の炎症がないか、痔がないかなども観察することができます。
当院での胃カメラ・大腸内視鏡検査は眠ったまま苦しまない検査が可能です。
5-3 CT検査・超音波検査
CT検査、超音波検査で大腸がんを診断することはありませんが、腸のむくみや炎症、腸閉塞などが分かるため、診断の助けとなる検査です。当院でもCT検査、超音波検査を行っております。詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。
5-4 血液検査
血液検査では貧血の値、炎症の数値(白血球やCRP)、腫瘍マーカーの確認などを行います。
6、大腸がんの治療
早期の癌であれば、大腸内視鏡検査の時にスネアと呼ばれる専用の輪っか状の器具で癌を切除することが可能です。
一方で、癌が進行してしまうと内視鏡治療が不可能となり、腹腔鏡あるいはお腹を開けて、癌のある大腸の部分ごと切除して繋ぎ直す必要が出てきます。
また、進行した段階で、他の臓器にまで癌が転移している場合には合わせて化学療法の必要性が出てきてしまいます。
終わりに
大腸がんは早期に発見できれば、根治が可能です。そのためには日頃からご自身の体調管理に注意し、いつもと違う初期症状にどれだけ早く気づくかという事が大切です。池袋消化器内科・泌尿器科クリニックでは、大腸がんの診断には欠かせない大腸内視鏡検査(大腸カメラ)やCT検査を行っております。大腸内視鏡検査(大腸カメラ)は眠ったまま苦しまずに行うことができます。詳しくは当院医師スタッフまでお尋ねください。
日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医、消化器内視鏡学会所属
名古屋大学出身
年間30000人以上の外来診察を行なう。
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。
再生医療のクリニックも運営