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絶対見逃してはいけない糖尿病の危険な初期症状5選について

[2023.08.28]

はじめに

糖尿病の患者様は現在非常に増えており、2050年までに加速度的に増えていくと言われています。それに伴い、糖尿病が原因となって腎機能が悪化し、人工透析を受けなければならない方の増加も予想されています。人工透析を受ける方お1人の医療費は年間で400万円とも言われています。人工透析の方の医療費は国が全額負担することを考えると、国の医療費もひっ迫していくことが予想されます。

そのため、その糖尿病のサインにどれだけ早く気付けるかということが非常に大切になってきます。早期に発見できれば重症化予防に繋がり、患者様の負担も少なくなり、ひいては国の医療費の安定へと繋がっていきます。

糖尿病のサイン

糖尿病を早期に発見するためには、次に述べるような糖尿病の危険な初期症状の5つのサインを見逃さない事が大切です。

サイン① 多飲・多尿

私たちの身体は、血液中の糖の濃度が濃くなると、それを薄めようとして体からあるサインを出します。それが「水分を飲みたい」というサインです。たくさん水分を摂取すると尿もたくさん作られますので、結果として多尿という状態になるという訳です。
最近、とても喉が乾いて水分をたくさん飲むし、尿もたくさん出る」という方は糖尿病のサインの1つかも知れません。

サイン② 手足の痩れ

血糖が高い状態になると、神経障害を起こし、手足の痺れを起こすことがあります。また、神経を栄養している血管を詰まらせて手足の痺れを起こすこともあります。大きな太い血管が詰まるということはあまりなく、細い、末梢の血管から詰まってしまいますので、末梢である手足の痺れを起こすという訳です。
糖尿病が原因で末梢神経障害を起こしている場合、左右のうちどちらか一方という事はなく、両方の手、両方の足、あるいは両方の手足に痺れを起こします。一方で、整形外科的な原因で手足が痺れている場合には右だけ、左だけ痺れを起こす事が多いです。また、手足の痺れは頸椎のヘルニアの場合もありますので、手足の痺れの症状に気づかれた方は内科や整形外科を受診されることをお勧めします。

サイン③ 感染しやすくなる

糖尿病になると外部からの菌やウイルスに感染しやすくなります。そのため、風邪を引きやすかったり、尿路感染症になりやすかったり、肺炎を起こしやすかったり全身の感染症になりやすいという特徴があります。
例えば、水虫は真菌(カビ)に感染することで発症しますが、糖尿病の方が水虫にかかっているケースが非常に多くなっています。
私の専門分野の泌尿器科で言うと、陰部に細菌や真菌が感染して炎症を起こす「亀頭包皮炎」という病気にかかる方は糖尿病をお持ちの方が非常に多いというのが現状です。また、亀頭包皮炎の症状でご来院され、最近、健康診断や人間ドックを受けていないという方に血液検査をした結果、糖尿病が見つかるというケースも多いのです。水虫や亀頭包皮炎を繰り返していて、最近、健康診断や人間ドックを受けていないという方は一度採血をしてみるのが良いと思います。

サイン④ 目の症状

糖尿病は目の細い血管にも影響してしまいます。目の血管が詰まったり、障害されたりすると、糖尿病性網膜症の症状のうちの一つである「飛蚊症」の症状が出てくる場合があります。「飛蚊症」とは文字の通り、目の前に蚊が飛んでいるように見える症状を言います。
飛蚊症などの目の症状がある場合には眼科を受診される方がほとんどですが、検査の結果、眼科の先生が糖尿病を疑い、内科を紹介するという場合もあります。

サイン⑤ 体重減少

運動したり、食事量を減らしたり、ダイエットをしたりしたわけでもないけれど、体重がどんどん減っていくという場合も、糖尿病のサインのうちの1つです。
糖尿病で血液中の糖が多くなると、血糖の調整をするインスリンというホルモンが分泌され続け、やがて枯渇してしまいます。
インスリンは血液中の糖分を細胞に取り込み、栄養を与えるという働きがあります。そのため、インスリンが枯渇すると血液中に糖分が残ったままになり、細胞に栄養が取り込まれない状態となります。その結果エネルギー不足となり、足りないエネルギーを補うために、筋肉や脂肪を分解してエネルギー源としていくため、痩せていくという訳なのです。
また、悪性腫瘍(癌)が進行した場合でも体重減少は起こりますので、不自然な体重減少がある場合には必ず医療機関を受診しましょう。

まとめ

糖尿病の患者様の数は非常に増えており、今後30年間で2倍以上に増えるという報告もあります。
食生活の欧米化や高齢化の影響もあり、糖尿病は誰でもかかる可能性があります。糖尿病は様々な合併症を起こしやすくなるだけではなく、人工透析が必要になった場合には日常生活にも大きな影響を及ぼしてしまいます。
今回お話しした糖尿病が出す5つのサインを見逃さず、早めに受診すれば早めに治療が開始でき、重症化を防ぐ事ができますので、この5つのサインをぜひ参考になさってください。

この記事を執筆した人
伊勢呂哲也

日本泌尿器科学会認定・泌尿器科専門医
名古屋大学出身
年間30000人以上の外来診察を行なう。
YouTubeでわかりやすい病気の解説も行なっている。

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